論文で不正か 大分大医学部の元講師、調査委設置
日本経済新聞 2012/12/15 9:56
大分大医学部(大分県由布市)産科婦人科学講座の40代の男性元講師が在籍中に発表した複数の論文に、過去に自身が発表し、掲載済みの画像やデータを新たな研究成果として使用した疑いがあるとして、大分大が調査委員会を設置したことが15日、大学関係者への取材で分かった。
医学・科学分野の学術誌を多数発行する世界的な出版社エルゼビア(オランダ)が、過去に掲載した元講師の論文7本について「データに重大な疑義が生じた」などとして取り消していたことも判明。取り消された論文が調査対象となっているかについて、大学側は「答えられない」としている。
大分大では、ほか、別の講師や前医学部長の論文約20本にも不正が疑われされるなど、同様の不祥事が相次いでいる。
エルゼビアの担当者や同社のホームページによると、取り消したのは、子宮がんや卵巣がんに関する遺伝子分析などの論文7本で、2002〜10年に同社が出版した2誌に掲載された。取り消し理由は「以前の論文で発表した画像を再使用した」などとしている。
大分大によると、元講師は今年夏、大学を辞職した。元講師は取材に「大学の調査が終わるまで話せない」としている。
取り消された論文には、文部科学省から約500万円の助成金を受けた研究もあった。