文理開成高:放漫経営、5年で破綻 「エリート養成」採算度外視 /千葉
毎日新聞 2012年12月20日(木)11時51分配信
「目標は東大合格、医学部合格」−−。5年前、鴨川市の鴨川横尾学園・千葉未来高校を引き継ぐ形でスタートした村山学園・文理開成高校が掲げたスローガンだ。だが、社会保険料や税金の滞納、給与の遅配など約2億円の未払い金を抱え、事実上、経営破綻していることが判明。地元の優秀な中学生を特待生として集め、都内の有名予備校の講師らによる英才教育で超難関大学に送り込む。村山徳和・前理事長の描いた青写真は放漫経営と少子化による経営不振のため発足5年で暗礁に乗り上げた。
文理開成が追い求めた「エリート養成」は少子化が進む中、私立高校の生き残りを目指したもので、10年の第1期卒業生から都内の有名私大や公立大の合格者を出すなど成果を上げ始めた。しかし、採算を度外視した「特待生集め」が経営を直撃するのに時間はかからなかった。
経営難は今年初めから一気に表面化。教師の給与不払いが常態化し、退職者が相次いだ。寮生たちの食材費の支払いにも困窮する事態となり、同市幹部らが仲介役となって学園の再建に向けた協議を始めた。
地元金融機関など債権者側は、不動産業から学校経営に参入した村山理事長の解任と、村山氏の個人資産による債務の返済を強く要求。学園は8月、臨時理事会を開いて村山理事長を解任し、副校長だった中島宗一氏が理事長兼校長に就任して経営再建に当たることになった。
中島理事長は前理事長に資産の譲渡を迫る一方、有力私大の付属校化を中心に再建案を練り、9月以降、支援依頼を続けている。【中島章隆】
12月20日朝刊