後手を繰り返すいじめ対策 国に強権求める声も
産経新聞 2012年12月27日(木)20時41分配信
大津市の中2男子自殺でいじめが全国的にクローズアップされたが、学校現場でのいじめを苦にした自殺は過去に何度も社会問題となり、そのたびに国は、いじめ調査方法の見直しや、通知を出すなどの後手の対策を繰り返してきた。
平成6年に愛知県西尾市の中2男子自殺が社会問題化。当時の文部省はいじめの定義を見直し、「いじめられた子供の立場から見る」とした。18年には北海道滝川市の小6女児が自殺したのを機に、いじめ調査を「発生件数」ではなく「認知件数」に変更した。
文科省は24時間いじめ相談ダイヤルの設置や、いじめの早期発見、早期対応などを求める通知も出しているが、自殺は繰り返される。
大津の問題では、教育委員会と学校側の隠蔽(いんぺい)体質も問われたことを受け、文科省はこれまでの対応が「現場任せ」だったと反省。9月に、いじめの重大案件を国に速やかに報告させることをルール化するなど、国と現場の連携強化を柱とするいじめ対策を発表した。
しかし、それでは不十分で、国に「是正の指示」という強権の発動を求める声もある。地方教育行政法に規定された文科相の権限で、教委に法令違反や怠慢があれば、法的に是正を求めることができる措置だ。
いじめで自殺した子供の遺族らでつくるNPO法人「ジェントルハートプロジェクト」(川崎市)の理事、小森美登里さん(55)は「是正の指示で教委と学校の体質を改善しない限り何も変わらない」と話す。