大津いじめ 生徒360人から聴取も…いじめと自殺の因果関係に踏み込めず
産経新聞 2012年12月28日(金)11時29分配信
「自殺の練習をさせられていた」というショッキングな証言で注目を集めた大津市の中2男子生徒へのいじめ。滋賀県警は専従捜査班を立ち上げ、中学校や大津市教委に異例の家宅捜索を行うなど、約半年間にわたり困難な捜査に挑んできた。教諭や約360人の生徒、加害側3人の同級生らへの事情聴取を経て、13件の犯罪容疑や非行事実の認定に至ったが、一方で、いじめと自殺の因果関係には踏み込めなかった。
捜査班は、家宅捜索での押収資料の精査と、それに基づいた市教委職員や教諭、生徒らへの事情聴取を行い、父親が告訴したいじめ行為45件を中心に裏付け捜査をしてきた。必要に応じて同じ生徒から繰り返し聞き取りを行い、中学校などの現場検証も重ねた。
しかし関係者の証言を積み上げていくことが、事実解明のほぼ唯一の手立てとなったため、捜査は慎重にならざるを得なかった。1年前にアンケートに記載した生徒らも、記憶が曖昧な場合が多く、事実認定には時間を要した。友人の死というショッキングな事態に、捜査員側も神経がすり減るほど配慮しながら聞き取りに当たったという。
また報道などで大きく取り上げられた後の事情聴取となったため、「いじめがあった」との前提で話す生徒が多く、目撃情報や噂や思い込みなどが混同された証言も少なくなかった。
捜査関係者は「亡くなった男子生徒の声を代弁し、協力してくれた生徒のためにも、できるだけ1件ずつ事実を洗い出した」と話していた。
今後は地検や児相(児童相談所)が改めて送致の内容を精査し、家庭裁判所に送致する。家庭裁判所は3人の家庭状況などを調査した上で、少年審判開始の是非を決定。審判が開始されれば、保護司による保護観察、児童自立支援施設や少年院への送致−などの最終的な処遇が決定される。