府教委vs市教委 泥沼バトルに橋下市長激高
スポーツ報知 2013年1月25日(金)7時4分配信
大阪市立桜宮高の男子生徒自殺問題で、同校体育系学科の今春の募集中止を受けた大阪府市の対応を協議する会議が24日、大阪市役所で行われた。ここで、両教育委員会のトップが批判の応酬を繰り広げ、市教委の長谷川恵一委員長(65)が府教委に協力要請しないとヘソを曲げる“場外バトル”が勃発。いったんはなだめ役に回った橋下徹市長(43)も、結局は長谷川委員長にダメ出しするなど、府市の教育行政の亀裂を公開してしまった。
会議では、市側が体育科入学を希望する受験生の受け皿として、府立高体育科の定員増を府側に要請。松井知事は「オール大阪でやりましょう」と応じたが、府教委の陰山英男委員長(54)は要請を受けるとした上で「改革案は真摯(しんし)な反省が感じられない」「(卒業証書に)あの校長の名前を書いて渡すのか」と、市教委の改革姿勢を厳しく追及した。
「百ます計算」など反復学習を重視した「陰山メソッド」で知られ、立命館小学校副校長などを務め、2008年、当時の橋下知事に教育委員に起用された陰山氏。兵庫・尼崎市の連続不審死事件を例に挙げ、「暴力によるマインドコントロール(という点で同じ)。桜宮の生徒から友達が死んだことに対し、伝わってくるものが感じられない」とまくし立てた。
これにカチンときたのが、入試中止案に唯一反対した市教委の長谷川委員長。学校法人「エール学園」の理事長は「自分たちで責任を持って解決したい。自分のところ(府立2校)の体育科がどうなってるか調べた上で言ってほしい。同じくらいの内容があるかもしれない」と、府立2校にも体罰があるのでは、と猛反発した。
この反撃発言に、橋下市長は「府立では自殺は出てない。おかしいですよ」となだめていたが、次第に激高。「責任を果たすんだったら自殺させないでください。市教委はもういいです!」「組織のメンツはどうでもいいじゃないですか」と語気を強めた。
会議は結局、30分を超えて1時間以上もめ、最後に会見で府教委に要請するか問われた長谷川委員長は「しません」と断言。橋下氏が冷ややかに「僕からします」と述べると、松井一郎知事(48)、陰山委員長も「やります」と声をそろえ、長谷川委員長は面目丸つぶれだった。
府教委はその後、臨時会議で体育科を擁する府立2校のうち、桜宮高に通学エリアが近い府立大塚高(松原市)の体育科の募集人員を40人増加の120人に、学級数を1つ増やして3にして対応することを決定。2013年度の暫定手段だが、次年度以降については、「今後の桜宮の改革がどうなるか次第」と陰山委員長はけん制。一方の長谷川委員長は、桜宮高の佐藤芳弘校長を2012年度中に交代させる方針を明らかにした。