追跡:2013ひろしま 県内の公立校教職員、体罰で処分・注意が全国最多−−11年度 /広島

追跡:2013ひろしま 県内の公立校教職員、体罰で処分・注意が全国最多−−11年度 /広島
毎日新聞 2013年1月24日(木)15時46分配信

 ◇県教委、独自研修資料作成へ
 県内の公立学校教職員が11年度、児童・生徒への体罰を理由に処分や注意などを受けた件数は31件で、都道府県で最多だったことが、県教委への取材で分かった。定期的に児童・生徒へのアンケートなどを通じて体罰事案を把握し、厳しい対応をしている反映で、件数自体は減少傾向にある。下崎邦明教育長は「体罰の根絶に全力を挙げる」と強調し、体罰を防ぐための新しい研修資料を月内に作成する。【寺岡俊】
 県教委によると、体罰を巡って停職や減給などの懲戒処分、厳重注意などの行政措置をした件数(広島市教委分除く)は、09年度45件(うち懲戒処分14件)▽10年度42件(同9件)▽11年度31件(同1件)▽12年度(今月11日現在)15件(同2件)−−と推移。11年度は2位の東京都(29件)を上回り、都道府県で最も多かった。
 大阪市立桜宮高校の生徒が自殺した問題では、部活動の顧問による体罰が問題視されているが、県内の処分・注意案件でも部活動に絡んだ体罰が起きている。09年度4件▽10年度7件▽11年度3件▽12年度2件−−となっている。
 減少傾向にあるとはいえ、依然として体罰がなくならない現状を踏まえ、昨年10月の教育委員会議で、体罰に特化した研修資料を作成する意見が出された。これを受けて、県教委事務局で作業に着手。今月25日の県立学校長会議と同28日の市町教育長会議で示せるよう準備を進めている。資料は学校を通じて全教職員に配布し、研修に活用する。
 研修資料は約50ページ。小、中、高、特別支援の学校別や、授業中、部活動、生徒指導など場面ごとに具体例を挙げ、体罰を防ぐポイントなども記載する。
 例えば、「教室の備品を壊した生徒を起立させて指導したが、何も応えないのに立腹して机を蹴ったら、生徒の腹に当たった」「部活動を一部の部員がさぼったので全員をグラウンド50周10キロ走らせた」などの事例を紹介。また、児童・生徒の心情や保護者らへの影響なども考慮しながら、適切な指導のあり方を教職員が考えてもらう。
 さらに「不適切な指導」と前置きして、「胸ぐらをつかむ」「額を指で強く押す」など体罰と判断せず処分・措置をしなかった事例も記載する。県教委は「教職員が萎縮せずに、毅然(きぜん)とした生徒指導を実施するために入れた」と説明している。
……………………………………………………………
 <部活動を巡る最近の体罰事例>
・県立高校の女子バスケットボール部で、部員5人の頬をたたいたり、足を蹴るなどした教諭が減給1月(09年度)
・県立高校で、スパイク管理の悪さなどを理由に野球部員12人の顔や頭を平手でたたくなどした教諭を停職1月(10年度)
・県立高校で野球部の練習に遅れた1年生部員の頭を殴り、一時気を失わせたなどした教諭(監督)を減給3月(同)
1月24日朝刊

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする