<大津いじめ自殺>「死にたい」同級生に相談 学校事実隠す
毎日新聞 2013年1月29日(火)2時32分配信
大津市で11年10月、市立中学2年の男子生徒(当時13歳)が自殺した問題で、生徒が自殺前にいじめに関して「死にたい」と同級生に相談していたことを学校側が調査で確認しながら、公表していなかったことが分かった。また、この調査を受けて校長が、自殺の6日後にあった校内会議で、いじめとの因果関係を認めていたことも判明した。いずれも滋賀県警が押収した学校の内部資料に記録が残っていた。【千葉紀和】
男子生徒の自殺の原因を調べている市の第三者調査委員会(委員長・横山巌弁護士、6人)も、教師らから独自に聞き取りをして同級生への相談に関する事実を把握。他の生徒の証言も併せて、いじめが自殺につながったとの見方を強め、いじめと自殺の関連について報告書に盛り込む方針だ。
学校側はこれまで、男子生徒が自殺した11年10月11日の6日後に全校アンケートを始め、同年11月に同級生3人によるいじめがあったと認定した。一方で遺書などがなく、「自殺との因果関係は判断できない」としてきた。
しかし、実際は自殺の翌日から3日間で、在校生20人近くに聞き取り調査を実施し、校内での暴行などいじめ情報の大半を把握していた。この聞き取りの記録の中に、塾で男子生徒から相談を受けた生徒の証言があった。男子生徒はいじめたとされる同級生を挙げ「『俺、死にたいわ』『死ぬなよ』『分からへん』という応答の繰り返し」があったという。相談時期は自殺の前月とみられる。
この調査結果は校内で報告され、校長は「厭世(えんせい)的になった状況がうかがえる」と記した資料を作成。校内会議で「彼の行動(自殺)の大きな要因であったことは確か」と認めていた。だが、この調査結果を遺族に伝えず、記者会見でも説明していなかった。
男子生徒の父親(47)は「こんな大事な証拠をなぜ隠していたのか。組織としておかしい。自殺後も問題に真剣に向き合っていない」と憤った。
市教委は「我々が主体となり調査すべきだった。それ以上は報告書が出てから答えたい」としている。