<教研集会>いじめ対応に教員苦慮 参加者ら議

<教研集会>いじめ対応に教員苦慮 参加者ら議論
毎日新聞 2013年1月26日(土)19時58分配信

 日本教職員組合(日教組)が佐賀市で開催中の教育研究全国集会で26日、いじめ問題の対応に苦慮する教員の発表があった。数年前に担任を受け持った小学5、6年の2年間、いじめを受けて不登校を繰り返した男子児童のケースを紹介。教員同士の連携の問題点や子供たちへの具体的な指導法について、参加者らと話し合った。

 分科会に参加した東日本の40代女性教員が発表した。男児は、低学年のころから無視されるなどのいじめを受け、学校を休みがちになった。5年生で担任した際に、生活指導担当の教員から「欠席が年30日を超えれば教育委員会への報告が大変」と言われ、男児を登校させるようプレッシャーを感じたという。

 休みがちな男児に対し、周囲の児童は「掃除などの当番の負担が増える」と男児を避けるようになった。女性教員は「関わりを持たないようにするタイプのいじめ」と捉えた。

 6年になって、男児が学校を数日休んだ際にクラスで話し合った。子供たちからは「(男児は)暴言をはく」などの不満が出てきたという。女性教員は「男児がいなくなれば平和? どうなればあなたたちの『世界』は住み心地がいいの?」と子供たちに考えさせた。話し合いの内容を男児と保護者にも伝え、男児に「避けずに関わってほしい」という希望があることを子供たちにも話した。その後、男児は次第に登校するようになり修学旅行も参加したという。

 女性教員は「『人と共に暮らすと温かくてうれしい』という思いを子供たちに持たせ、クラスで本音で話す時間が必要」と説明した。

 この発表に対し、長崎県の男性教員は「いじめや不登校への対応のうまさを競うのではなく学校の在り方を問い直すことが必要だ」と指摘。岡山県の男性教員は「いじめがあると教員は不名誉で指導力がないとみられる」、宮崎県の女性教員も「指導力不足と思われないようSOSを出せない」と現状を話した。【石丸整】

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