伊調千春さんの母校で体罰か、京都・網野高レスリング部
スポーツ報知 2013年2月1日(金)7時5分配信
レスリングで五輪メダリストを輩出している京都府立網野高校(京都府京丹後市)で、レスリング部顧問の40代の男性教諭が体罰をした疑いが浮上し、指導から外れていることが31日、同校や府教育委員会への取材で分かった。学校は25日に全校生徒を対象にアンケートを実施、調査を進めている。同校はアテネと北京五輪で銀メダルを獲得した伊調千春さん(31)やアテネ五輪銅メダリストの井上謙二さん(36)の出身校。同部の顧問には、世界選手権4度優勝の正田絢子さんもいる。
府教委などによると、1月中旬ごろ、複数の部員から「体罰的な指導があった」との声が学校側に寄せられた。学校は「行きすぎた指導があったのでないか」として、同25日からこの教諭の部活動での指導を停止し、調査を始めた。
府教委によると、教諭は伊調さんや井上さんを直接指導した前任者の転任に伴い、2003年4月に赴任。授業は保健体育を担当している。高橋弘校長は「全校生徒を対象にアンケート調査をしているが、現時点で体罰の有無は分からない。レスリングは格闘技で、判断が難しい」と説明した。
一方、府教委は「これまで教諭の体罰事案は報告されていないが、本人だけでなく周囲の教員らにも聞き取りを行い、過去もさかのぼって調べたい。体罰があったと認められれば厳正な処分を検討する」とし、早ければ週明けにも調査結果を公表する意向を示した。
教諭は約10年間、レスリング部を率い、最近では一昨年と昨年のインターハイ学校対抗戦でそれぞれ3回戦に進出した。「非常に熱心。前任者と変わらない成績を残している」と学校関係者。着任時から全国大会常連という部の看板を背負いながらも、期待通りの実績を残した。厳しい指導を求めて他府県から入学してくる生徒もいるという。
また、教諭を巡っては昨年、練習中にけがをした部員の母親から「練習が厳しすぎるのではないか」との指摘を受けていたことも分かった。体罰との因果関係はないと判断された事案だが、教諭は当時、けがをしたこの部員を「この時期に休むと全国レベルの試合に出られなくなる」などと説得。部員は教諭に言われるままに、故障箇所を抱えたまま練習を続け、試合にも出場した。結果としてけがが長引いたことで、母親は今でも「完治を優先させるべきだったのでは」と不満の声を漏らしているという。
府教委によると、同校レスリング部には3人の顧問がおり、伊調千春さんの同級生で、世界選手権を4度優勝した同校OGの正田絢子さん(31)ら2人の教諭で当面は指導していくという。