体罰:未然防止、各学期に調査を 県教委、各県立校長に要請 /三重
毎日新聞 2013年2月1日(金)12時17分配信
県立学校長会議が31日、津市の県庁講堂で開かれた。県教委は体罰の未然防止・再発防止のため、各校での定期的な体罰調査の実施など、早期発見と早期対応を各校長に要請した。【田中功一】
県立高校や特別支援学校の校長ら71人が出席した。県教委保健体育課の吉田光徳課長が、県立高校などで今年度、教員が文書訓告を受けた4件の体罰事例と、運動部員による暴力行為など生徒の問題行動事例3件を報告。昨年12月に設置された県教委の関係課長会議によるこの事例の分析結果を説明した。
体罰の発生要因として▽校内の横の連携が不十分な中で教員がそれぞれの立場や思いで生徒を指導したこと▽体罰は絶対に許されないという認識の不足▽運動部顧問の負担と指導者不足▽顧問と生徒の関係が濃密な運動部活動では、生徒が問題行動などを起こすと、教員には裏切られたという気持ちと憤りが重なる−−ことなどを指摘。各学期に1回程度は教員に対する調査や生徒アンケートを実施し、体罰を確認した場合は教員全体で情報共有するとともに、県教委にも報告するよう要請した。
体罰への対応の際は、教員だけでなく生徒にも聞き取りし、事案の背景や前後関係を確認するよう求めた。
また、1日から開設する体罰専用相談電話を生徒に周知し、新しく作る体罰防止用の映像教材を校内研修などで活用するよう呼びかけた。
◇県内全校の実態把握へ
文部科学省の通達を受け、県教委と県私学課は、県内の公私立全ての小中高校、特別支援学校を対象に、体罰の実態調査を実施する。
調査の対象は、07年に同省が示した「体罰」の見解に基づき、今年度中に発生した教員による殴るける、長時間正座させるなどの体罰。県教委は、教員だけでなく、児童生徒にも調査用紙を配布し、自身が直接関わった体罰の有無や、校内などで見た事案を調べる。児童生徒は各家庭に調査用紙を持ち帰り、保護者と相談して回答することも可能。障害があったり、小学校低学年の場合は、聞き取りなどで確認するという。調査用紙は31日、県立学校と各市町教委に配布、送付した。県私学課も近く全私立学校に送付し、公立学校と同様の調査を要請する。
同省通達では、4月30日までに調査結果を報告するよう求めているが、調査の実施時期や手法は明示されておらず、調査方法、内容は、県教委などが独自に決めたという。【田中功一】
〔三重版〕
2月1日朝刊