県立特別支援学校のわいせつ:元指導員を児童福祉法違反容疑で書類送検 /長野
毎日新聞 2013年2月2日(土)11時45分配信
県立特別支援学校の女子生徒が昨年秋、校内でわいせつ被害を受けた問題で、県警少年課などは1日、同校寄宿舎勤務の元指導員の男(30)=懲戒免職=を児童福祉法違反容疑で書類送検した。容疑を認めているという。
送検容疑は昨年9月、夜間に女子生徒の部屋に忍び込み、生徒が18歳未満と知りながら、わいせつな行為をさせたとしている。
捜査関係者によると、他の女子生徒2人含め計3人に1年以上にわたり、わいせつな行為を繰り返した。
県教委などによると、元指導員は当直勤務の際、1人で部屋を巡視し、行為に及んだという。
県教委によると、指導員の採用には臨時的任用と正規の二つがあり、正規では一般教養試験や面接、適性検査などがある。だが、臨時は校長の面接のみで合否を決めている。書類送検された元指導員の採用方法については明らかにしなかった。
県教委は「臨時的任用の場合、過去の学校勤務の経験があれば、その情報を得た上で面接している。今後、教頭など複数人による面接も考えなければならない」と述べた。【福富智】
2月2日朝刊
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信州・取材前線:県教委懲戒処分「非公表」 情報公開に逆行 「先進県」の姿勢に批判 /長野
毎日新聞 2013年2月2日(土)11時44分配信
県立特別支援学校職員による女子生徒へのわいせつ行為問題を巡り、は1月24日、懲戒処分などの指針を改正し、わいせつ行為などの被害者らが要望した場合、懲戒処分自体を「非公表」にできる規定を設けた。県教委は「被害者のプライバシー保護を優先した」と説明するが、阿部守一知事は記者会見で「(指針を)変えなくても対応できたと思う」と疑問を投げ掛けた。情報公開に後ろ向きといえる県教委の姿勢に批判の声が上がっている。【小田中大】
「これまでの指針でどんな支障があったのか」「不祥事の再発防止に障害となるのではないか」
24日、記者会見した山口利幸教育長に質問が相次いだ。特別支援学校の寄宿舎勤務の男性職員が昨年秋、生徒にわいせつ行為をしていたことが1月、新聞報道で明らかになったにもかかわらず、公表を拒んだ。
県教委幹部によると、指針改正の検討を始めたのは、教委が職員の不祥事を把握した昨年秋。特別支援学校は18校しかなく特定の恐れがあるうえ、保護者から「公表はしないでほしい」と上申書が届いた。幹部は「『(不祥事を)無かったことにしてほしい』というのが保護者の本音だった。被害者の2次被害を防ぐことが目的だった」と釈明する。
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県内で12年度、教職員による不祥事が相次ぎ、懲戒処分は36人、うち免職9人=今年1月24日現在。ともに過去20年間で最悪だ。県教委は昨年7月「教員の資質向上・教育制度あり方検討会議」を、県の知事部局と共同で設置した。会議の専門部会は処分の透明性確保のため「公表ガイドラインの策定」を提言した。
だが、提言を無視するかのような県教委の対応に、会議座長の赤羽貞幸・信州大副学長は「相次ぐ不祥事発覚に県民は『今まで(県教委に)うやむやにされてきたのでは』という意識も強い。事実を明らかにすることは信頼回復のベースとして大事だ」と批判する。
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文部科学省によると、長野県を除く46都道府県教委のうち32都府県は処分の「非公表」を可能とする規定がある。だが、以外の13道府県は処分を全て非公表とするのではなく、内容の「一部」は公表すると歯止めを掛けている。
情報公開制度に詳しい堀部政男・一橋大名誉教授(情報法)は「公務員は全体の奉仕者であり、公的なものは原則公開するのが当然の理念だ」と強調する。公表の際、学校名を匿名にするなどの方法で「被害者へ一定の配慮をすることは可能」と指摘する。また、長野県が84年に公文書公開条例を制定した「情報先進県」である歴史を踏まえ「長野県は過去、積極的に情報公開してきた。今後も県民に説明責任を果たすべきだ」と求めた。
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■メモ
◇懲戒処分の公表基準
県教委は、懲戒処分の標準量定を定める目的で06年6月「懲戒処分等の指針」を策定。うち公表基準は免職は氏名や学校名も公表する一方、わいせつ事案は被害者特定を避けるため、処分者を匿名化▽学校は種類と地区名まで▽処分理由の概要化−−などの対応を定める。今年1月24日の改正で、わいせつは「被害者等が非公表を求める場合は公表しないことを含め配慮する」と変更した。
2月2日朝刊
長野県はいつまでペログリ県でいるつもりだろう