<大津いじめ訴訟>市側、和解を正式に申し入れ

<大津いじめ訴訟>市側、和解を正式に申し入れ
毎日新聞 2013年2月5日(火)11時23分配信

 大津市で11年10月、市立中学2年の男子生徒(当時13歳)が自殺した問題で、遺族が市やいじめの加害者とされる同級生3人らに約7720万円の損害賠償を求めている訴訟の第5回口頭弁論が5日、大津地裁(長谷部幸弥裁判長)であった。市側は先月31日に第三者調査委員会から提出された調査報告書を裁判所に提出。この内容を受け、自殺といじめの因果関係や市の過失を認め、和解を正式に申し入れた。市側が訴訟で因果関係を認めたのは初めて。遺族側は「今後も弁論を続けながら、応じられるか検討していきたい」と述べた。次回期日は4月9日。

 大津市側は「第三者委の報告書は230ページを超え、具体的内容に踏み込んだもの。訴訟に関係する部分については反映させるべきだと考えた」と和解を正式に打診した理由を説明。次回期日までに、これまで遺族側が主張してきた事実関係について認否を明らかにするとした。

 裁判後、会見した遺族側代理人の石川賢治弁護士は「和解(を受け入れるかどうか)については全く白紙。調査報告書には一通り目を通したが、精査できておらず、(まだ)評価のしようがない。次回、報告書を踏まえた主張をしたい」と話した。

 遺族側は5日の弁論で、大津市教委が作成していた「生徒指導のてびき」などに、いじめが疑われた際に学校や教師がとるべき具体的な対応策が記載されていたと指摘。教諭らが男子生徒について、「遅くとも11年9月以降、てびきに記載されたいじめ早期発見のための観察項目に該当すると認識していた」などと述べた。

 同級生側は、学校側資料の黒塗り部分の開示を求める主張を維持した。【村山豪】

 ◇因果関係を認める判断

 和解を申し入れた大津市の越直美市長は市役所で報道陣の取材に応じ、「第三者調査委員会の報告書のほか、警察の捜査結果や押収資料を検討した結果、(いじめと自殺との)因果関係を認める判断をした」と説明した。提訴から1年近くたったことについては、「学校と市教委が最初にしっかり調査できていれば、このように時間はかからなかった。遺族に申し訳ない」と陳謝した。【千葉紀和】

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