中2同級生刺傷:いじめ報告せず 中学校側「改善方向と考えた」 /石川

中2同級生刺傷:いじめ報告せず 中学校側「改善方向と考えた」 /石川
毎日新聞 2013年2月7日(木)15時40分配信

 県南部の公立中学校で先月末、2年生の男子生徒(14)が同級生男子(14)の腹をナイフで刺して軽傷を負わせた問題で、男子生徒が昨年、この同級生らからいじめられていると話していたのに、中学校側は県教委からいじめ対策で派遣された外部専門家にいじめの状況報告や相談をしていなかったことが6日、分かった。校長は、「男子生徒の(いじめ)問題は改善する方向へと向かっていると考えた。認識が甘かった」としている。【横田美晴】
 県教委は、大津市でいじめを受けた中学生が自殺した問題を受け、外部の複数の専門家をいじめへの対応について助言するアドバイザーに委嘱。昨年10月から、学校現場に派遣する事業を始めた。いじめ問題が発生した際、深刻な事態に発展しないよう、第三者の立場で意見や判断を示してもらいながら、警察など学外の関係機関・団体と円滑に連携を図って対処する狙い。弁護士や元警察官、大学教員、元校長などが委嘱されている。
 中学側は昨年11月、アドバイザーの派遣を県教委に要請。公立学校長を経験したアドバイザーが、2日間の日程でこの中学でいじめなどの現状について報告を受けた。中学側は、いじめ問題を抱える複数の生徒について対応を相談するなどしたが、同級生を刺した男子生徒については名前を挙げて「注意深く見守る必要がある生徒」とだけ伝え、いじめの状況の報告や、相談もしなかった。
 アドバイザー派遣の約1か月前の昨年10月、男子生徒は「いじめがあるから学校に行けない」として遠足を欠席。教師には今回刺された同級生ら2人から容姿をからかわれていることなどを話していた。直後に同級生2人は男子生徒に謝罪していたため、中学側は「いい方向に向かっていると考えており、相談しなかった」と説明している。
 県教委は「学校側からは、アドバイザーに男子生徒の件を報告したり、相談したりしたとは聞いていない」としている。その上で「いじめは、収まったように見えても、再び始まることが多い。アドバイザーの助言を受けて対処しておれば、今回の事態が避けられた可能性がある。相談がなかったのは残念」と話している。
2月7日朝刊

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