体罰一掃へ チェック表 京都市教委 研修で配布
京都新聞 2013年3月4日(月)23時19分配信
京都市教育委員会は大阪市立桜宮高校などの体罰問題を受け、一般教職員と管理職に体罰について認識を問うチェックリストを作成し、4日開催した教員研修会で示した。「愛情があれば」「保護者が了解していれば」などの体罰を容認する意識を学校現場から一掃することを目指す。
教職員用と管理職用に各10項目ずつ設定。項目ごとに○×を記し、問題点がある場合に今後の取り組みを書き込む。
教職員用は、「愛情があれば許される」「保護者が了解していれば許される」などの誤った認識の有無や、「自分が子どものころに体罰を受け、成長できた面があると考えていないか」などを尋ねた。
「児童生徒に力による解決を助長する」などの設問を通じて、体罰がデメリットを生むことを認識してもらう。指導に焦りがないか、子どもの背景を理解した指導を実践できているかを省みるなど、指導力向上を求めた。
一方、管理職用は、生徒指導の負担を担任ら一部教員だけで抱え込むと力による指導に結び付きかねないことから、組織的な生徒指導や情報共有の重要性を確認する項目を設けた。週末の活動もある部活動について状況を十分把握するようにも促している。
市教委は同日、下京区の市総合教育センターで管理職や生徒指導担当教員ら約300人に活用を呼び掛けた。柴原弘志指導部長は体罰を許容する認識をなくすことが防止の鍵として、「全教員が指導を見つめ直し、学校の体制を考えてほしい」と強調した。
■京都市教委の体罰防止チェックシート(概要)
(教職員向け)
▽「場合によっては」「愛情があれば」「保護者が了解していれば」許されるとの認識はないか
▽児童生徒に力による解決への志向を助長すると認識できているか
▽生徒指導を一部教員に頼っていないか。そうした教員の行き過ぎた指導を容認していないか
▽教職員相互に体罰を注意、指摘する雰囲気があるか
▽「子どもになめられている」などと焦りを感じていないか
▽自分が子どものころ体罰を受け、それにより成長できたと考えていないか
▽部活動で結果を残すことが何より子どものためになると考えていないか
▽部活動で気合を入れるため頭や顔、体をたたくことが効果的と考えていないか
▽部活動中、罰として過剰な練習を課していないか
(管理職向け)
▽組織的な生徒指導を展開する体制を確立しているか
▽学級担任や学年の教員だけが問題を抱え込む傾向がないか。管理職への報告やほかの教員との情報共有ができているか
▽体罰や行き過ぎた指導が気になる教職員に、面談などの個別指導を適切に行っているか
▽子ども、保護者が気軽に相談できる雰囲気や機会をつくっているか
▽部活動の活動状況を十分把握しているか