陸上部監督、5年間で体罰33件 愛知・豊川工高

陸上部監督、5年間で体罰33件 愛知・豊川工高
朝日新聞デジタル 2013年3月13日(水)16時29分配信

 【相原亮】高校駅伝の強豪校で知られる愛知県立豊川工業高校陸上部監督の男性教諭が部員に体罰を繰り返していたとして、愛知県教育委員会は13日、教諭を停職4カ月の懲戒処分にすると発表した。体罰は2008年度からの5年間で計33件に上っていた。

 停職処分を受けたのは、渡辺正昭教諭(50)。発表によると、渡辺教諭は陸上部の男女30人の部員に対し、拳で殴るなどの体罰をした。このうち女子部員に対しては、けがで動きに精彩がないなどの理由で昨年5、10、11月に繰り返し平手でたたくなどの体罰を加え、唇が切れるなどのけがを負わせた。

 女子部員は12月に退学し、体罰を受けた別の男子部員も転校した。

 渡辺教諭は、09年にもデッキブラシを使って体罰をして、けがを負わせて訓告処分を受けていることから「常習的な体罰」と判断し、停職処分に踏み切った。また、管理監督責任があるとして同校の竹本禎久校長を1カ月間の減給10分の1の懲戒処分としたほか、教頭2人も口頭訓告とした。

 豊川工高での体罰は、大阪市立桜宮高校で体罰を苦に生徒が自殺した問題を受け、愛知県教委が1月に全県立高校に指示した調査で発覚した。県教委は学校に対し、渡辺教諭による陸上部への指導を自粛させるよう指示。学校は、部の指導だけでなく、授業も自粛させている。

 豊川工高陸上部は、男子が11年まで全国高校駅伝に14年連続で出場。渡辺教諭は同部を強豪に育てたことで知られていた。

 稲垣孝臣教頭は「大変ご迷惑をおかけして申し訳ない。深くおわびしたい。今後二度と起きないよう教職員一丸となってできることから防止策を進めていきたい。ただ、処分内容は詳しくは聞いていない」と話した。

 また、県教委は13日、豊川工の事案を含めて今年度に確認した体罰事案で教員55人と、管理監督責任があるとして校長、教頭ら25人の処分も発表した。

     ◇

 〈おことわり〉 朝日新聞はこれまで、渡辺正昭教諭について匿名で報じてきましたが、愛知県教委が、部員への体罰を認定して停職の懲戒処分としたことから、実名での報道に切り替えます。

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