「監督に迷惑かかる」兵庫・高砂市立中学 野球部父母会が体罰隠蔽

「監督に迷惑かかる」兵庫・高砂市立中学 野球部父母会が体罰隠蔽
産経新聞 2013年3月22日(金)15時23分配信

 文部科学省が全国の学校に提出を求めた体罰実態調査のアンケートをめぐり、兵庫県高砂市立中学校の野球部父母会役員らが、部員の生徒に監督の体罰を報告させないよう保護者らに電話などで指示していたことが22日、市教委への取材で分かった。体罰を認める記述をした部員の保護者には父母会役員が訂正を要請していたという。市教委は「体罰の隠蔽(いんぺい)はあってはならず、記述も生徒に委ねなければならない」とし、調査を進めている。

 アンケートは平成24年度中の体罰の有無や教諭名について、文科省が今年1月、全都道府県教委などを通じて国公私立の小中高などに実施を通達。小学校は保護者、中学と高校は生徒本人が記入する仕組みで、アンケートの様式は各教委に一任された。

 高砂市教委は2月19〜21日、兵庫県教委の用意した原則実名のアンケート用紙を使い市立各校で調査。質問内容は、授業中か部活動中かといった体罰の状況や場所▽発覚経緯▽発生件数▽体罰した教員名−など。回答後は封筒に入れ担任教諭に提出、各校の管理職が開封する流れだった。体罰があったと書いた生徒には管理職が聞き取りを行い、現場教諭には知らされない仕組みだったという。

 野球部父母会役員らは2月中旬、分担して部員の保護者に連絡。「お世話になった監督に迷惑をかけないよう、体罰があったと書かせないように」などと指示した。その後、監督の体罰を認める記述をした部員がいることを聞きつけると、その保護者に連絡を取り、調査対象以前の体罰だと部員に訂正させるよう働きかけたという。

 県教委宛てに2月下旬、「体罰なしと回答するように、と連絡するのはおかしい」との匿名投書が届き、問題が発覚。学校側は今月1日、野球部の保護者会で回答の再提出を依頼した。改めて提出された複数の回答には「体罰があった」と書かれていたという。

 調査結果は今月22日の市議会文教委員会で公表される予定だった。公表前に父母会役員側に内容が伝わった原因について、市教委は「不明」としている。

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