(朝鮮日報日本語版) 学生に自著の購入を強要する大学教授
朝鮮日報日本語版 2013年3月25日(月)12時42分配信
新学期が始まった3月初め、延世大学の学生たちのオンラインコミュニティーに「自著を購入し、レシートをレポートに貼るよう教授に言われた」という書き込みが掲載された。
延世大国文科の馬光洙(マ・グァンス)教授は先ごろ、1学期に自分の講義を履修する学生たちに「私の著書を買ってレシートを提出するように」と伝えた。全学年を対象に行う教養科目「文学と性」の講義計画書に「『何でもない人生が』と『文学と性』の2冊を購入したレシートをレポートに貼ること。貼っていないものは無効」と記した。別の教養科目「演劇の理解」の講義計画書でも、『何でもない人生が』と『カタルシスとは何か』の2冊のレシートを提出するよう学生に求めた。3冊はいずれも馬教授の著書だ。
馬教授の講義を履修する学生たちはあきれた様子だ。「演劇の理解」を受講する1年生の学生(19)は「希望の教養科目を申し込めず、仕方なくこの講義を受けることにしたが、レポートにレシートを貼るように言われ、履修したことをますます後悔した。教授はあからさまに『本が売れない』と言い、レシートを貼らないと点数を付けないと繰り返している」と話した。
別の学生(19)は「本を買って読んだが、レポートの内容とさほど関連がなくますますあきれた」と話す。また「文学と性」を受講する2年生の学生(20)は「図書館で借りたり先輩に譲ってもらったりすることもできるのに、新しい本を買うよう強要され、皆が嫌がっている」と語った。
教授や講師が履修生に自分が執筆・翻訳した書籍を買うよう要求することは、大学ではよくあることだ。ソウルのある私立大で今学期に中国文学に関する講義を受講する学生(22)は「講義の購読課題に指定されている中国小説の翻訳本をすでに持っているのに、(教授が)自分の翻訳本を買うよう繰り返し、ストレスを感じる。翻訳の出来がいいためという教授の言葉には同意しかねる」と打ち明けた。
著書の購入を強要する教授や講師たちは「教育のため」だと口をそろえる。「受講生が必読教材を忠実に読まず、借りるなどして適当に読むのは望ましくない」または「同じタイトルの本でも最新の増補版や最新版を読ませる」ために購入を勧めるというわけだ。
学生たちが本を買わない習慣を正すため、との主張もある。馬光洙教授は「本を読まない最近の学生たちの態度に問題がある。コーヒーを飲む金や映画を見る金は惜しまないのに、教材を買う金は惜しむという態度が残念で、レシートを提出させるという特別措置を取った」と述べた。「私の本を1冊ずつ持ち、ことあるごとに読み返すよう奨励するための教育的方針」とも強調した。
馬教授の「教育的方針」に、学生たちは反発を見せている。延世大のオンラインコミュニティーでは「あからさまに購入を強要され、絶対に買わない」といった声に加え「クレジットカードで本を買い、レシートを受け取ってすぐに返品すればいい」という対処法も紹介されている。