都内でいじめ考える集会、「校内に専門組織を」尾木さんら訴え/東京

都内でいじめ考える集会、「校内に専門組織を」尾木さんら訴え/東京
カナロコ 2013年4月10日(水)14時0分配信

 いじめに苦しみ自殺を考える子どもたちを救うため、必要な対策を考える集会が9日、東京都千代田区の参院議員会館で開かれた。教育評論家の尾木直樹さんも参加。自殺で子どもを失った遺族らとともに、いじめの問題に専門的に対応できる組織を学校内に設ける必要性を訴え、検討が進められている「いじめ防止対策基本法案」について早期成立を呼び掛けた。

 いじめに潜む複雑な問題や背景を理解してもらい、解決に向けた提言をしようという狙い。いじめ問題に取り組むNPO法人「ジェントルハート・プロジェクト」(事務局・川崎市)が主催し、国会議員や秘書ら60人以上が参加した。

 冒頭、いじめや教師による行き過ぎた「指導」が原因でわが子を自殺で失った同法人の理事3人が、自身の体験を話した。

 遺族に共通する認識は、教育現場におけるいじめ問題への対応力の乏しさという。3年前、中学3年生だった次男=当時(14)=を失った男性=同市麻生区=は、いじめを「じゃれ合い」と捉えた当時の教員の対応などを振り返り、「教育のプロですら解決に導くスキルを全く持ち合わせていないと実感した」と吐露した。

 そうした遺族の思いを受け、同法人は解決の手だてとして、学校内部にいじめ問題に対応できる専門の組織を恒常的に設ける必要性などを訴えた。

 いじめをめぐっては、大津市の中学2年の男子生徒が自殺した問題であらためてクローズアップされている。同市の第三者委員会の委員も務めた尾木さんは、自身も教員である当事者の立場から「学校はこれまでいじめ対策を何も講じてこなかった」と教育の不備を指摘。子どもの声に耳を傾けながら、「地域や保護者を巻き込んだ対策委員会を各学校に設けることが重要」と話した。

 国の「教育再生実行会議」で道徳教育の充実が求められていることにも触れ、「いじめは単純な道徳教育の強化では防げない。人権の尊重や受容と寛容の精神、『いじめは犯罪』ということをしっかりと学ぶ環境づくりが不可欠」と強調した。参加した議員11人も意見を発表。複数の議員が、防止法について「党派を超え、今国会での成立を目指したい」と述べた。

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