県教委の教員採用汚職:「求償権不行使は違法」 確認求めオンブズ提訴 /大分
毎日新聞 2013年4月19日(金)16時26分配信
2008年に発覚した県教育委員会の不正採用事件を巡り、大分市のNPO法人「おおいた市民オンブズマン」などは18日、不正によって不採用となった受験者への賠償金について、県が事件関係者に損害賠償を求める「求償権」の行使を怠ったとして、違法確認を求める住民訴訟を大分地裁に起こしたと発表した。
同教委が06、07年に実施した教員採用試験では、不正な点数操作の影響で54人が不合格になった。県は54人に約9200万円の賠償を決定。既に和解した53人に9045万円を支払っている。
一方、県は、賠償金額から教員らのカンパや返納された退職金を差し引いた約947万円分を、不正を指示した当時の県教委幹部ら7人に損害賠償請求した。賠償には5人が計約447万円しか応じず、残りは教育委員らの寄付で賄った。
同オンブズマンは、県が求償権を行使したのは約447万円分だけで、受験者に支払った金額から447万円を差し引いた約8597万円分の求償権の行使を怠っており、違法だと主張。17日に提訴した。
同オンブズマンの永井敬三理事長は18日の記者会見で「公務員だけでなく依頼者、仲介者、実行者すべてが共同で責任を負うべきだ」と述べた。県教委は「訴状がまだ届いておらずコメントできない。届いたら適切に対処したい」とコメントした。
同オンブズマンは1月、県に対し「合格を依頼、仲介した公務員以外の人にも求償権を行使すべきだ」として住民監査請求を求めていたが、3月に棄却されていた。【田中理知】
4月19日朝刊