柔道授業けが、滋賀県内で47件 必修化の12年度
京都新聞 2013年5月14日(火)11時9分配信
全国の中学校で武道が必修化された初年の2012年度、授業中のけがが滋賀県で少なくとも47件あったことが、京都新聞社の調査でわかった。武道必修化から1年が過ぎ、担当者からは事故防止に加えて武道精神を伝える難しさなどの課題も挙がり、教育現場では適切な指導方法の模索が続いている。
調査は5月上旬、県内の全市町教委と京都府、京都市教委を対象に実施した。各教委に詳細な統計はなく、武道の授業中のけがで、独立行政法人「日本スポーツ振興センター」に治療費を請求したケースに絞って聞き取った。
柔道と剣道が導入された県内では、すべて柔道によるけがで、大津市が最多の24人。東近江市が8人、草津市4人、守山市3人と続く。野洲、近江八幡、長浜の3市は各2人、米原市と高島市が各1人だった。甲賀市は1人が病院で検査を受けたが、けがはなかった。
回答があった範囲でのけがの種類は、草津市で昨年11月、当時2年の女子生徒が左鎖骨を折るなど、骨折が5件。大半は頭部の打撲と、足や腰の捻挫で、受け身や寝技の練習中のけがが目立った。大津市と東近江市はけがの内容を把握できていなかった。
京都府教委によると、京都市を含む府内の12年度の請求件数は計147件だった。市教委の説明では、京都市内では12年度、少なくとも19人がけがをし、骨折が4件あった、という。
県教委の5月7日の研修会には、保健体育科主任教諭91人が参加。「相手を敬う武道精神を教えることが難しい」といった課題や、事故防止への改善点について意見が交わされた。
府教委は、畳の状況や安全配慮の事例、地域指導者の授業での活用などを聞くアンケートを各校に実施している。28日の研修会で、結果を報告し、情報共有を図るという。
学習指導要領の改定で、12年4月から中学1、2年の体育で武道が必修化された。12年度は、県内の公立100校のうち重複を含め74校が柔道、31校が剣道を選択した。