柔道部活動で中1死亡、町に3700万賠償命令
読売新聞 2013年5月14日(火)21時45分配信
2009年7月、柔道の部活動中に倒れて死亡した滋賀県愛荘町立秦(はた)荘(しょう)中学1年の村川康嗣君(当時12歳)の母親の弘美さん(45)が町と当時顧問だった男性講師(30)に約7600万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、大津地裁は14日、顧問の過失を認定、町に約3700万円の支払いを命じた。
顧問個人への請求は棄却した。
判決によると、康嗣君は、1本2分間の実戦練習(乱取り)を繰り返し、26本目に顧問の返し技を受けて倒れ、約1か月後、急性硬膜下血腫で死亡した。
長谷部幸弥裁判長は、康嗣君が15本目の乱取り終了後に水分補給する際、水筒がある場所と全く違う方向に行こうとしたことに言及し、「柔道部顧問として4年余りの経験があれば、意識障害が生じている可能性を認識できた」と指摘。「直ちに練習を中止して受診していれば、命が助かった可能性がある」と述べた。
一方で、原告側の「日常的に暴力を振るい、重大な結果を招いた顧問個人も賠償すべきだ」とする主張については、「部員を平手でたたいたり、尻を蹴ったりしたことは認められるが、日常的暴力までは認められない」「公務上の過失は、町が責任を負う」として退けた。
閉廷後、記者会見した弘美さんは「責任の所在について、きっちり言及していない事務的な判決。不服です」と悔しさをにじませた。控訴については今後検討するという。
一方、村西俊雄町長は控訴しない方針を明らかにしたうえで、「判決を真摯(しんし)に受け止め、部活動中の事故を二度と招かないよう万全の対策をとる」とのコメントを発表した。