輿石氏を刑事告発 農地無許可転用「完全復元されず」 市民団体

輿石氏を刑事告発 農地無許可転用「完全復元されず」 市民団体

産経新聞 2013年5月17日 7時55分配信

 民主党の輿石東参院議員会長(77)が、自宅として使用する相模原市の敷地にある農地を車庫などに無許可転用していた問題で、市の是正指導後も農地への復元が完全になされていないとして、東京、神奈川、山梨3都県の農地・教育問題を考える市民団体が農業振興地域整備法違反罪で輿石氏を横浜地検に刑事告発したことが16日、分かった。地検は捜査した上で立件の可否を慎重に判断するとみられる。

 市民団体によると、輿石氏は自宅敷地内の母屋に隣接する土地779平方メートルに平成元年ごろから車庫や小屋、舗装路を整備。この土地は宅地などへの転用を禁じた農振法に基づく農振農用地に指定されていたため、違法転用に気付いた市農業委員会が21年10月から22年2月までに計3回、農地に戻すよう行政指導した。

 土地は輿石氏の義弟名義で、輿石氏側は車庫や小屋など建造物を撤去したが、市民団体は土地の一部489平方メートルについて「車庫に続いていた石畳の一部は残されており、駐車スペースになっている」と指摘。農地への完全な復元はなされておらず、農用地内で土地の形質変更などの開発行為を行う場合、都道府県知事の許可を求めた農振法に違反するとしている。

 輿石氏の義弟は産経新聞の取材に対し「農地に復元し、私が農作物を作っている。市農業委員会がオーケーを出したから問題ない」と説明。20年以上に及ぶ無許可転用については「知っていた」と違法性を認識していたことを認めた上で「市農業委員会がいいかげんで(車庫などを)造っても何も言ってこなかった。指導しなかった市が悪い。(同様事例は)世の中にいっぱいある」と話した。

 輿石氏の事務所からは期限までに回答はなかった。

 ■輿石東氏の農地無許可転用問題 輿石氏の自宅がある相模原市の土地1298平方メートルのうち約6割の779平方メートルが農地の無許可転用を禁じる農地法などに違反して車庫や小屋、舗装路などに使われていたことが平成22年3月に表面化。輿石氏は「建物を建てて商売しようとか収益を上げようとかそういう目的があるわけではない」と釈明。同年9月までに車庫や小屋などは撤去された。

 ■農業振興地域整備法 優良農地の確保などを目的とし、都道府県が指定する農業の振興を図る必要がある地域の中から、市町村が農振農用地を指定。農振農用地は農地以外の利用は原則不可で、違反した場合、1年以下の懲役または50万円以下の罰金。

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