元教授の5論文を撤回 府立医大、論文不正問題
京都新聞 2013年5月27日(月)15時39分配信
京都府立医科大の松原弘明元教授の論文不正問題で、米国心臓協会は27日までに、協会の学術誌に掲載した5論文を撤回した。5論文については協会が昨年3月に不正の疑義を表明、府立医大の調査委員会が今年4月に画像データに捏造(ねつぞう)・改ざんがあったとして不正を認めている。
撤回の理由を協会は「府立医大から五つの論文でデータと図表に改ざんがあったと通知された」としている。
論文は2001〜04年に発表。血圧調節メカニズムやホルモンの心筋細胞への影響などを報告した。うち4本は元教授が関西医科大、1本は府立医大に所属時に発表された。
松原元教授の論文不正問題では、大学の調査委員会が今回の5論文を含む14論文で不正を認定した。関係者によると14論文で撤回は今回が初めて。
これらの論文とは別に、血圧降下剤バルサルタンの効果を調べた臨床試験で、データ解析の誤りが指摘され、日本循環器学会などが関連論文を撤回。薬剤販売元の社員の不適切な関与も指摘され、改ざんと利益の誘導がなかったか大学の調査委員会が検証している。