<桜宮高体罰>教育長ら懲戒処分 大阪市
毎日新聞 2013年5月28日(火)22時28分配信
大阪市立桜宮高校バスケットボール部の男子生徒(当時17歳)が、顧問だった元教諭(47)=懲戒免職=から体罰を受けた翌日に自殺した問題で、市は28日、事前に元顧問の体罰情報が寄せられたのに適切な対応を怠ったとして、永井哲郎教育長ら市教委の幹部3人を戒告の懲戒処分、職員8人を訓告などの処分にした。体罰問題で教育行政のトップが懲戒処分を受けるのは極めて異例で、市は桜宮高校の問題に関する一連の調査・処分を終える。
元教諭については、2011年に市の公益通報制度を通じて体罰を行っているという情報が寄せられたが、学校側は生徒への聞き取りをせず、元教諭の言い分だけで「体罰はない」と報告。市教委もそれを追認していた。
市は「生徒の死亡という重大な結果を回避する契機を逃し、市民の信用を著しく損なった」として、永井教育長と教育次長2人を戒告に、当時の教育次長ら8人を訓告や口頭注意にした。当時から在籍している教育委員3人も、報酬の一部を自主返納する。
また、市教委は同日、再発防止策を公表した。体罰については、これまで学校だけで対応していた軽微な事案も含めて全件を市教委に報告するよう全市立校に通達。処分を担当する部署がすべての体罰情報を把握し、教育委員会議に報告することで、事務局と学校現場の「なれ合い」を防ぐ狙いがある。
市教委は、体罰と生活指導との線引きについても、7月ごろに指針をまとめる方針。永井教育長は記者会見で謝罪し、「事務局の長として責任を痛感している。今後、教育行政の発展に全力を尽くす」と話した。【茶谷亮】