訴訟:教育改革論文への県教委対応「修正迫る言動なかった」 元教頭の訴え退ける−−山口地裁判決 /山口
毎日新聞 2013年5月30日(木)12時29分配信
教育改革について書いた論文の表現を変更するよう県教委に強要され、発表を妨げられた、などとして県立学校元教頭の男性(62)=宇部市=が県を相手取り、論文を発表してはならないとした県教委の「命令」を無効とすることなどを求めた訴訟の判決が29日、山口地裁であった。山本善彦裁判長は「県の行為は職務命令とは言えない」などとして元教頭の訴えを退けた。
論文の表現を変えたり発表を差し控える県教委の「命令」があったかが争われた。
訴状によると、元教頭側は同論文が2007年7月発刊の教育雑誌で論評された後、県教委から事情聴取を受け、その際に表現の修正を求められたとし、県教委の行為が検閲にあたるとした。修正を要求されたのは「職員団体はひたすら既得権にしがみついているように思える」「費用に対する教育公務員の思考レベルは、企業人を成人に譬(たと)えるならば小学生並みと言っても過言ではない」などとする記述で、県教委から「クレームがつく可能性がある」「本当に小学生並みと思っているのか」など20カ所以上の指摘を受け、修正や削除を求められたと主張していた。
判決は「事情聴取の記録からも内容の修正を迫る言動はなかった」とした。また、論文発表を禁じた職務命令は出されておらず、県教委による事情聴取後も元教頭は外部に論文を見せていたが、これに対する処分・注意もされていないとした。
元教頭は「個人的に書いた論文でも県教委が介入できるとする判決」と話している。
県教委は「主張が認められた。判決文を読んでいないので詳しくは差し控えたい」とコメントした。【柴山雄太、吉川雄策】
〔山口版〕
5月30日朝刊