<大阪産業大>「やらせ受験」認める…第三者委調査
毎日新聞 2013年6月25日(火)21時43分配信
大阪産業大(大阪府大東市)が入学意思のない生徒を受験させるよう付属高校に依頼した「やらせ受験」問題で、同大学が設置した第三者調査委員会(委員長・山本恒己弁護士)は25日、付属高校が生徒9人に受験を依頼し、1回5000円の謝礼を渡したとする調査報告書を公表、「やらせ受験」を認めた。一方、大学側の関与は認定せず、やらせ受験の目的も補助金カットを免れるためだったことを否定した。
◇大学関与、認定せず
報告書は「入試制度の信頼性を根幹から損ないかねない深刻な事態」と指摘。初めて記者会見に出席した土橋芳邦理事長は「学生や保護者につらい思いをさせた。学園トップとしておわび申し上げます」と謝罪した。本山美彦学長は辞任する意向を改めて表明した。
第三者委は、問題が発覚した今年3月に設置。大学や付属高の関係者、元受験生ら14人から聴取した。一方、告発者の付属高元教頭からは直接聴取できなかった。
報告書によると、付属高校の教諭は2009年1月、元教頭の指示で、進路の決まっていた生徒9人に大産大の経営学部を受験するよう依頼。9人は延べ31回受験し、延べ20人が合格したが入学しなかった。教諭は同年3月、生徒らに謝礼を支払った。
動機について元教頭は、本山学長の聞き取りに対し、経営学部の入学者数が増えすぎて国の補助金がカットされるのを防ぐためだったと証言。しかし第三者委は、同学部の定員を25人増員したため、補助金カットの恐れは解消されていたと判断。付属高が受験依頼した目的は、大学の偏差値を上げるためだったとの見方を示した。
一方、大学入試センター試験の結果で合否判定する「センター試験利用入試」については、大産大が系列の大阪桐蔭高校に受験依頼したと認定。授業料免除制度が有名無実の制度になっていたとして、改善を求めた。【近藤諭、原田啓之】