「息子が命がけで作った」 いじめ防止法成立 生徒の父親が会見

「息子が命がけで作った」 いじめ防止法成立 生徒の父親が会見
京都新聞 2013年6月21日(金)15時19分配信

 「いじめ防止対策推進法」は21日の参院本会議で自民、公明、民主などの賛成多数により可決、成立した。
■徹底して法運用見守る
 大津いじめ問題で、2011年10月に中学2年の長男=当時(13)=を自殺で亡くした父親(47)は、国会の傍聴席で静かに新法成立を見守った。「いじめで尊厳を奪われ、命を落とす子どもが1人もいなくなるまで徹底して法律の運用を見守る」。いじめ対策が進み、子どもの命のとりでになることを願った。
 「生きている子どもたちを助けるために、息子が命がけで作った法律だと思っている」。文部科学省で会見した父親は涙を浮かべて語った。同法成立でいじめ問題が解決されるわけではないとし、「首長や教師らがよく考え、教育現場での指導の中に落とし込むことで効果が発揮される」と力を込めた。
 事前に提出した意見書で、遺族の意向を反映した外部有識者による調査の義務付けや、いじめにあった保護者への適切な情報提供などを求めた。要望は付帯決議で補われたが、「法解釈で自治体に混乱が起きないよう、定義をガイドラインで定めてほしい」と注文を付けた。
 長男の死後も、教育行政の体質が変わっていないと感じる場面が多々あった。鹿児島県出水市では、自殺した中2の女子生徒=同=の遺族に対し、学校側がいじめを調査した結果が明らかにされていなかった。
 神戸市で開かれた6月の「全国学校事故・事件を語る会」シンポジウムでは、奈良県橿原市で自殺した中1の女子生徒=同=の両親と出会った。学校の調査結果を知らされず、苦悩する姿が自分と重なった。「教委の体質は変わっていない」
 文科省などによると、大津市の第三者調査委員会設置以降、子どもの自殺で第三者委が設けられた例は全国で5件あるという。父親は「学校や教委の隠蔽(いんぺい)や不適切な対応で二重の苦しみを受けている遺族が今もいる」と指摘。「これらの問題にも法律が適用されることを希望し、目の前の問題を解決に導くことが先決だ」と声を振り絞った。

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