(朝鮮日報日本語版) 有名大学名冠した韓国系予備校、米で訴訟
朝鮮日報日本語版 2013年7月5日(金)12時38分配信
「ハーバード」「エール」「プリンストン」など名門大学の校名を予備校の名前などに使用することを差し止める判決が米国で下された。
米国ニュージャージー、ペンシルベニア、デラウェアの各州で「エール・アカデミー」という商号を使い、米国の大学入試対策予備校を経営してきた韓国系米国人、テリー・ヤン氏は今年5月、商標権を侵害されたとしてエール大に提訴された。このため、ヤン氏は8月31日から商号を「Y2アカデミー」に変更することで、エール大と和解した。3日付ニューヨーク・タイムズが報じた。
エール大は訴状で「エール大は米国の歴代大統領4人をはじめ、優れたリーダーを輩出している名門であり、その名声は米国だけでなく、世界に通用する」と主張。これに対し、ヤン氏は自身の姓である「ヤン(Yang)」と妻の姓「リー(Lee)」の頭2文字を取ったところ、「エール(Yale)」となったものであり、予備校の看板をエール大のシンボルカラーである青と白にしたのも、青が好きだからそうしただけだと説明した上で「エール・アカデミーとエール大を混同する人はいないはずだ」と主張したが、受け入れられなかった。
米国での判決を受け、韓国国内で有名大学の校名を冠している業者は神経をとがらせている。米国の大学が「校名を盗用された」などとして、名称の使用差し止め請求を行ったり、損害賠償訴訟を起こしたりするケースが想定されるためだ。
韓国国内で「ハーバード」「エール」など米国の有名大学名を使用している業者は、大半が予備校や学習塾、受験生が勉強に使用する読書室、病院などだ。ソウル市教育庁に登録された予備校や学習塾、読書室のうち、「ハーバード」を冠したのが16カ所、「エール」を冠したのが52カ所ある。ただ、登録商号と実際の商号が異なるケースも多いため、実際の数はさらに多いとみられる。
「エール」という名称を使ったソウル市の語学学校の経営者は「訴訟を起こされれば、エール大とは異なる漢字由来の名称だと反論する」と話した。
ソウルの礼一(イェイル)女子高(イェイルはエールとほぼ同音)の関係者は「設立者キム・イェファン氏の名前と礼節第一という意味の両方にちなんだ校名だ。エール大が訴訟を起こせば、財団レベルで対処したい」と述べた。
韓国の業者の見解とは異なり、専門家は名義盗用に関する訴訟を起こされた場合、米国の大学側が有利だとみている。ハーバード大は実際に韓国の法律事務所を通じ、2006年にソウル中央地裁に「ハーバード」という商号を掲げた韓国の歯科医院に名称の使用差し止めを求める仮処分申請を行ったことがある。当時は訴えられた歯科医院が商号を変更。ハーバードという名称を使用していた他の病院も、国際特許法律事務所から送られた内容証明郵便を受け、病院名を変更した。
ある特許法律事務所の弁理士は「商標は外観、観念、称号という三つの側面から識別するが、文字による商標は称号が最も重要だ。いくら漢字表記が由来だとしても、発音が同じであれば、十分に問題となる余地がある」と指摘した。別の特許法律事務所の弁理士は「10年前にハーバードという名称を教材名に使った業者とハーバード大の間で裁判が起き、当時大法院(最高裁に相当)はハーバード大の主張を認めた」と語った。
ソウル市教育庁(教育委員会に相当)の関係者は「教育庁が予備校などに商標権侵害だから(外国の大学名を)使うなという指針を下すことはない。米国の有名大学が韓国の業者を提訴しても、(教育庁は)どうすることもできない」と及び腰だ。
米国の大学が校名をブランドとして管理しているのに対し、韓国の大学は一部を除き、校名盗用に関する対応策を取っていない。延世大は「延世」ブランドの商標登録をしておらず、内部管理規定もないという。高麗大関係者は「高麗大は商標管理委員会で学校のブランドを管理している。韓国の大学でブランド管理指針があるのは、2−3校にすぎない」と説明した。ソウル大は2008年から広告目的で校名やロゴを使用することを禁止し、使用中止要求に応じない場合には、法的対応を取っている。