(朝鮮日報日本語版) 【記者手帳】論文盗用をめぐるダブルスタンダード
朝鮮日報日本語版 2013年7月14日(日)0時56分配信
2011年5月、表蒼園(ピョ・チャンウォン)警察大学教授(当時)は、自分のインターネット講義に関するコミュニティーサイトに、論文盗作問題関連のコメントを寄せた。このコメントで、表教授は「出典を明らかにしたとしても、原文の表現をそのまま使用した場合は、引用符など直接引用の方法で表現しなければならない。『間接引用』の方法を使いたければ、一つの文章内で2単語以上連続して(原文と)同じように書いてはならない。あたかも自ら書いた文章のように『ごまかす』行動に見えるからだ」と主張した。さらに今年6月、表蒼園氏は、盗作問題で名前が挙がった現政権の高官に対する批判も行った。自分の博士号にやましいところはないとして、論文関連のリンクを単文投稿サイト「ツイッター」でも公開していた。そんな折、保守寄りの論客として知られる辺熙宰(ピョン・ヒジェ)氏が今月1日、表蒼園氏の博士学位論文について盗作疑惑を提起した。これに対し表蒼園氏は、翌2日と3日に「虚偽事実の流布で(辺氏を)刑事告訴する」と反論した。
ところがそれからわずか4日後、表蒼園氏は、1997年に英国エクセター大学に提出した警察学の博士論文に盗用部分があったことを認めた。表蒼園氏はブログに「引用規則を守って引用符の中に入れたり、ブロック引用の形で処理したりすべき直接引用を、出典表記のみの間接引用で誤って表記していたことを確認した」と記した。2年前、学生に対し「盗用」に当たるとして注意していた行為を、自分自身がやっていたわけだ。
表蒼園氏は「私の博士論文に盗用部分があるという事実に失望し、怒りを感じた方がいらっしゃるなら、丁重に謝罪したい」と語ったが、その一方で「自分がやっていること、またやるべき役割や主張を中断したり、緩めたりはしない」「指導教授および学校側に知らせて、引用の誤りを修正した内容を提出することにした」と語った。誤りは認めるが、論文は修正すれば済む話なので、これまでやってきたことは続けたいというわけだ。さらに表蒼園氏は「(学位論文を書くために)5年間外国で流した汗と情熱が、論文で見つかった一部の盗用の痕跡によって損なわれ、駄目になる痛みを経験したことで、『魔女狩り』に近いあら探しの弊害を痛感した」とも記した。
有名講師のキム・ミギョン氏は、今年3月に修士論文盗用問題が表面化した後、放送関連の活動を全てキャンセルした。女優のキム・ヘスさんは公の場で謝罪し、修士論文を撤回した。コメディアンのキム・ミファさんも、担当のラジオ番組を降板した。これらの人々は責任を取った。しかし表蒼園氏は、教授を辞めたが、今やっている番組のパネリストや新聞のコラムニストの仕事を、まだ続けたいと言う。他人に厳しい基準を強調していた「学者」の表蒼園氏は、自分のことでは幾つも言い訳を並べ、このまま乗り切るつもりらしい。