奈良のいじめ第三者委、遺族「中立性に疑問」
カナロコ by 神奈川新聞 2013年7月19日(金)23時45分配信
奈良県橿原市で3月に自殺した当時中学1年の女子生徒の両親らが19日、文部科学省を訪問し、9月施行のいじめ防止対策推進法が公平性、中立性を保って運用されるよう要望し、記者会見した。
両親は、2011年に自殺した大津市の男子生徒=当時中学2年=の父親、いじめ問題に取り組むNPO法人「ジェントルハートプロジェクト」(川崎市)の小森美登里理事らとともに、同省生徒指導室の担当者と非公式で面会した。
面会後の会見で、両親らは、橿原市教育委員会が置いた第三者委員会に、元市顧問弁護士などが含まれるため、「利害関係人が関わる調査は公平性、中立性に疑問がある。いじめ防止法に逆行している」と訴えた。
また面会では、いじめ防止法を受けて国などが策定する基本方針について、いじめ自殺の遺族を策定の作業に加えることも要望。
さらにジェントルハートプロジェクトは、いじめ自殺などに関するアンケートの遺族への開示と、自殺の背景を調査する機関の設置要綱に遺族の要望を反映することなどを求める要望書を手渡した。同省の担当者は「橿原市教委や学校に、遺族とコミュニケーションを取るよう指導する」と話したという。
女子生徒は自殺する前、友人から無視などをされていたと複数の生徒が指摘している。両親は市長部局の下に第三者委を設置するよう求めているが、市側は「いじめ防止法が、教委や学校による調査の前に調査機関を設けることを想定していない」として拒否した。下村博文文部科学相は今月9日の記者会見で「遺族の心情に寄り添って調査を進めるよう、県教委を通じて指導したい」と述べている。