<詐欺容疑>東大教授を逮捕 国の研究費2100万円詐取

<詐欺容疑>東大教授を逮捕 国の研究費2100万円詐取
毎日新聞 2013年7月25日(木)19時9分配信

 東京地検特捜部は25日、国の研究費約2180万円をだまし取ったとして、東京大学政策ビジョン研究センター教授、秋山昌範容疑者(55)=東京都杉並区=を詐欺容疑で逮捕した。関係者によると、研究費は秋山容疑者の妻の会社に流れていたことが確認されており、特捜部は秋山容疑者が私的に使ったとみて調べている。

 逮捕容疑は、2010年3月〜11年9月にシステム会社など6社の役員ら6人と共謀。自身が関わる研究事業などを巡り、6社がデータベースの作成業務などを受注したように装い、厚生労働省などから東大に支給された研究費を6社の口座に7回にわたり振り込ませ、計約1890万円をだまし取った▽10年3月、共同研究をしていた別の教授が在籍する岡山大に支給された研究費約290万円を同様の手口でだまし取った−−としている。

 関係者によると、業者側に振り込まれた研究費は、秋山容疑者の妻が役員を務め、自宅を本店とする医療関連のコンサルティング会社に移された。会社の資金繰りに充てられたり、秋山容疑者の飲食費や交際費に使われたりしたとみられる。

 東大政策ビジョン研究センターは08年、東大の学部間にまたがる研究テーマを統合して研究成果や政策を社会に発信する目的で設立された。秋山容疑者は医療情報学や医療経済・経営工学が専門の医学博士で、09年8月に同センターの教授に就任した。【山下俊輔、島田信幸】

 ◇調査委を設置

 東大の大和裕幸理事・副学長は25日夜、学内で記者会見し「逮捕内容が事実ならば言語道断。厳正な調査をし、対処したい」と語った。政策ビジョン研究センターと大学本部それぞれに調査委員会を設置したという。

 大和副学長によると、秋山容疑者の研究室は09年からの4年間、26件のプロジェクトで計約2億1500万円の研究費を受領した。会見に同席した城山英明センター長は「(秋山容疑者は)医療とITをつなぐという研究について、積極的に仕事をしてこられたという印象。慚愧(ざんき)に堪えない」と話した。【吉住遊】

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