<東大>森口氏の論文14本不正認定
毎日新聞 2013年9月20日(金)20時3分配信
東京大は20日、昨年10月に森口尚史(ひさし)氏=既に懲戒解雇=が、米国で発表した人工多能性幹細胞(iPS細胞)を使った臨床研究について、調査に対して事実確認をさせず、こうした対応を不正行為と判断したと発表した。また、東大在籍中に発表した論文68本のうち14本についても同様の不正を認定した。
東大は森口氏に対し、データや実験ノートなど実際に実験したことを示す証拠の提出を求めたが、提出しなかった。これを不正行為の証拠隠滅または立証妨害にあたるとした。
また、14本のうち1本で米研究機関のホームページからの図の盗用があった。5本は既に撤回されており、東大は残り9本の撤回を森口氏に求める。また、在籍中に支払われた人件費約997万円は東大が国に返還する。東大は今後、森口氏への請求を検討する。
森口氏は今年7月に提出した弁明書で「意図的に証拠隠滅したのではなく、関係者と連絡が取れなくなった」と釈明。森口氏は問題となったiPS細胞の臨床研究についても「1件は実施した」と主張を変えなかった。
森口氏は1999年8月〜2010年1月、東大の先端科学技術研究センターに特任教授などの肩書で在籍。その後は東大病院に特任研究員などとして在籍していた。【斎藤有香】
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毎日新聞は、森口氏の取材依頼を受け、過去に5本の記事を掲載し、このうち3本が今回不正と指摘されました。こうした報道を反省し、再発防止を図るため、確認作業を徹底させるなど全社的に科学報道のあり方を見直し、既に実施しています。