内柴正人被告控訴審初公判 弁護側、あらためて無罪主張
フジテレビ系(FNN) 2013年10月4日(金)17時39分配信
教え子の女子柔道部員に性的暴行を加えたとして、懲役5年の判決を受けた内柴正人被告(35)の控訴審の初公判が4日、東京高裁で開かれ、内柴被告の弁護側は、あらためて無罪を主張した。
内柴正人被告は、2011年12月に逮捕されて以降、拘置所などで拘留生活を続けている。
控訴審の初公判は4日、東京高裁で開かれた。
4日の法廷に、内柴被告は、黒のポロシャツに紺色のズボンの格好で姿を現した。
内柴被告は、控訴審への心境を、事前に7枚の便せんにつづっていた。
内柴被告は、熊本の大学の柔道部を指導していた2011年9月、遠征先の東京・八王子市で、酒を飲んで酩酊(めいてい)状態になった教え子の女子部員に対し、宿泊先のホテルで性的暴行に及んだとして、準強姦の罪に問われている。
1審での争点は、性行為は、合意のうえで行われたのかどうか。
2012年9月、東京地裁で開かれた1審で、内柴被告は「女子部員は間違いなく起きていました。合意のうえで性行為に及んだのです」と主張していた。
一方、検察側は「酔って寝ている間に乱暴された」と主張していた。
両者の主張が食い違ったまま、2013年2月、東京地裁が言い渡したのは、求刑通り、懲役5年の実刑判決だった。
一貫して「合意のうえだった」と主張した内柴被告に対し、1審判決は、「被害に遭った元女子部員の証言を十分信用できる」とし、内柴被告の供述には、「明らかなうそがあり、全く信用できない」とした。
1審で、裁判長は「被害者が、虚偽の事実を述べてまで、被告人を陥れようとする動機は存在しない。オリンピック2連覇という輝かしい実績を持つ内柴被告を慕って、指導を仰いできた学生の心と名誉を、深く深く傷つけ続けた責任は重い」とした。
1審判決後、代理人弁護士は会見で、「(被害者は)ほんとにホッとしたという…、100点満点の判決をいただいたと思っています。本人のお母さんも十分納得のいく、満足な判決だったと」と語った。
1審の判決後、被害者の元女子部員は「被告人には控訴はしないで、罪を認めてほしい」とコメントした。
しかし、内柴被告は、判決公判の最後に、裁判長から、不服であれば控訴ができることを告げられると、「はい、させていただきます」と、裁判長の声にかぶせるように、大きな声で返答し、即日控訴した。
その後、FNNの取材に対し、2013年3月、手紙で心境をつづった内柴被告は、控訴した理由について、「刑に服すことが嫌で、否認、控訴している訳ではありません。否認、控訴はつらいです。なんなら認めて、早く刑期を終えた方が楽なのかもしれません。(1審中)知っていることは、全て話しました。全て認めています。知らないことを認めていないだけです」と述べている。
また、手紙の中で、内柴被告は、全日本柔道連盟が、助成金問題や選手への暴力問題で揺れていることについても触れていた。
内柴被告は、「さて、今、全日本柔道連盟は大変です。独房で心配しています。僕はもう会員クビなんで、どうでもいいのですが、世話になりましたからね。心配です」とつづっていた。
そして4日、控訴審初公判を迎えた。
およそ8カ月ぶりに法廷に現れた内柴被告は、1審の時より、髪の毛は短く、体は少し締まった様子で、無表情のまま被告人席に座った。
裁判の冒頭で、裁判長から「これから準強姦の罪の控訴について審理を始めます」と告げられると、内柴被告は小さな声で、「はい、お願いします」と述べた。
控訴審初公判で、内柴被告の弁護側は、「女子大学生の供述が信用できるとした1審判決は、証拠の評価を誤っている」として、あらためて無罪を主張した。
そのうえで、元女子部員の携帯電話の鑑定書などの証拠を請求したほか、被告人質問を求めたが、裁判長は、いずれも却下した。
4日の初公判を受けて、被害者の元女子部員は「(1審の)判決の日にすぐ控訴されて、わたしがうそをついているように言われて、真っ暗な気持ちになりました。この事件のために、大切な柔道を奪われ、学校に行けなくなり、友達や仲間を奪われ、わたしの人生は全く変わってしまいました。今願っていることは、1日でも早くこの裁判が終わって、この事件のことを考えなくてもすむようになることです」とのコメントを発表している。
裁判は即日結審し、判決は12月11日に言い渡される。