大津自殺訴訟 遺族側提出の専門家意見書 「学校側の対応が一因に」

大津自殺訴訟 遺族側提出の専門家意見書 「学校側の対応が一因に」
産経新聞 2013年11月27日(水)7時55分配信

 大津市立中2年の男子生徒の遺族が同級生や市などに損害賠償を求めた訴訟の第9回口頭弁論で、遺族側が提出した伊藤進・明治大名誉教授(民法)の意見書。同級生によるいじめを教員らが防ごうとしなかったことが自殺の一因だったとし、法的な観点から「生徒を保護する義務を怠った」と学校側の対応を批判した。次回期日は未定。

 遺族の依頼に基づき、伊藤名誉教授がまとめた意見書では、「学校は少なくとも生徒が自殺する6日前にはいじめを知っていたか、知りうる状況にあった」とする市の第三者調査委員会の報告書などを踏まえ、「適切な措置を講じていれば自殺に至らなかった可能性が高い」と指摘。担任教諭については、亡くなった生徒に対する同級生らの行為をいじめと認識しなかった点を「過失ではなく故意の不作為だったと認定できる」と批判した。

 また、いじめたとされる同級生3人のうち、第三者委が「いじめ行為の回数が少なく程度が軽い」などといじめの主体として認めなかった生徒1人について、「いじめは言動が集積、継続することで心の侵害に至る」と指摘。この生徒の行為も自殺との間に因果関係があるとした。

 この日の弁論の後、記者会見した遺族側の代理人は「今回の意見書提出で、法的な観点からもいじめと自殺との因果関係が明らかにできた」と意義を強調した。

 市側は意見書の提出を受け、「すでに学校の対応と自殺の因果関係を認めており、意見書に反論する考えはない」とし、これまで通り賠償に応じる考えを示している。

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