「いじめ対応」に一石を投じた大津、川西の中高生自殺 全国的な見直しのきっかけに
産経新聞 2013年12月11日(水)10時55分配信
関西では、いじめへの対応を全国的に見直させるきっかけとなった事件が相次いでいる。平成23年10月に大津市で中学2年の男子生徒が、昨年9月には兵庫県川西市で県立高校2年の男子生徒がいずれも自殺した問題だ。
大津市立中2年の男子生徒の父親(48)は、認知件数の大幅増加について「早期発見の取り組みが進んだと考えられる」と一定評価を与える一方で、「認知件数は氷山の一角。数字に表れていないいじめがどれだけあるか検証すべきだ」と警鐘を鳴らした。
男子生徒に対するいじめの実態調査のため、市が立ち上げた第三者調査委員会の最終報告書は「複数の教員がいじめの可能性があると判断しながら、全体で共有できず、有効な対策が取れなかった」と指摘した。
問題発覚後、大津市教委はわずかなトラブルも速やかに報告するよう各学校に徹底させた。市も「子どものいじめの防止に関する条例」を施行させ、第三者調査機関を常設するなど体制を整えた。しかし父親にはまだ不十分に感じられるといい、中央教育審議会が答申案でまとめた「地方教育行政の最終責任者を教育委員会から首長に移す」ことに賛意を示す。
「開かれた教育行政のためには、教育委員会の体制を変えたほうがいい」
また川西市の県立高校2年の男子生徒の母親(55)は、「いじめられていると声を上げられない子供がたくさんいたことの証し。もっと前から動いていれば、息子は亡くならずにすんだかもしれない」と悔しさをにじませた。
兵庫県教委も第三者委員会を設けて調査や協議を重ね、いじめの存在は確認したが、自殺との因果関係は認めなかった。遺族は「自殺はいじめが原因」として県なども相手取って、損害賠償を求める民事訴訟を起こしている。