天童中1死亡 市教委、いじめ認め陳謝

天童中1死亡 市教委、いじめ認め陳謝
2014年1月21日 読売新聞

 天童市の市立中学校1年の女子生徒(12)が、「いじめにあっていた」との内容をノートに書き残し、山形新幹線にはねられ死亡した問題について、市教委の水戸部知之教育長は20日の市議会総務教育委員会で、「いじめへの認識や実態把握のあり方、不適切な対応などについて考え直す必要がある」と述べ、校内でいじめが存在していたとの認識を市として初めて示した。

 委員会の冒頭、水戸部教育長は「(全校生徒を対象に行った)アンケートでは、生徒からいじめに関する記載が多数あった。生徒を理解し、サインを感じ取り、面談を行うなど、心の声に寄り添う必要があったと自責の念にかられている。申し訳ない」と陳謝した。元木満・学校教育課長も「アンケートの結果からも、いじめが認識できる状況だった。いじめと認識せず、初期対応で不備が散見される」と述べ、学校側の対応のまずさを認めた。

 元木課長は、不備の具体例として〈1〉昨年6月にあった母親から担任教諭への相談〈2〉同7月の担任と母親の二者面談〈3〉同9月の生活態度に関するアンケートへの女子生徒の回答――を挙げた。母親の相談は「部活動で娘は1人になっていないか」という内容で、アンケートへの女子生徒の回答は友人関係で悩んでいるという趣旨だった。

 母親の相談に対しては、担任から連絡を受けた部活動の顧問が部員に指導を行い、女子生徒の悩みには担任が面談して対応した。その後、母親や女子生徒から相談がなかったため、学校側は、いじめなどの深刻な問題はないと判断していたという。

 元木課長は「母親から初めて相談があった時点で、学校としての対応に甘さがあった。家庭との連携を十分に図り、一緒に考える必要はなかったのか。学校全体で真剣に考え、対応しようとしたのか。継続指導につながらず、いじめを発見できなかったことが悔やまれる」と述べた。

 また、15日に全校生徒へ実施したアンケート結果の詳細も明らかにした。元木課長によると、532人から回答があり、このうち13人が「いじめを知っている」という趣旨の回答をし、100人超が「うわさで聞いた」「インターネット(の書き込み)で見た」などといじめの存在に言及していた。市議からは「真相究明を急いでほしい」「在校生の心のケアも考えてほしい」などの要望があった。

 元木課長は委員会終了後、学校が17日に行った教職員約40人へのアンケートでは、女子生徒が悩んでいる様子に触れた記述が複数あったものの、いじめに関する情報はなかったことを記者団に明らかにした。そのうえで「アンケートの結果などからは、全体像は分からないが、学校も市教委も、いじめはあったと認識している」と改めて述べた。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする