行き過ぎ性教育、イデオロギー教育、うんざり日教組「教研集会」唯一の“救い”
産経新聞 2014年2月1日(土)17時30分配信
性器の役割について図を見せながら説明するとともに「男女の違いは性器だけ」であることを小学1年生に理解させる−。
滋賀県内で1月24〜26日の3日間にわたって開催された日教組の教育研究全国集会。冒頭に挙げた行き過ぎともいえる性教育や、日教組の価値観を押しつけるかのような平和教育、政府への不信感をあおり立てる授業などの実践例が今回も、これでもかとばかりに分科会の資料を埋めていた。
例えば、とある中学3年の社会・公民分野での授業のリポート。憲法9条の解釈について(1)自衛戦争も放棄している(2)侵略戦争は放棄しているが自衛権は認め、必要最小限の戦力は禁止していない(3)個別的自衛権だけでなく集団的自衛権も認められ、自衛隊の強化・米軍との協力も禁じていない−という3つの解釈を生徒に提示して選ばせる。教員自身は(1)を支持すると表明、「自衛隊は必要最小限の装備ではなく米軍の駐留も北朝鮮や中国を刺激している」などの理由も説明。(3)を選んだ生徒が少数いたことに対し「危機感を感じる」としていた。
また、中学2年の技術・家庭科の授業では、「エネルギー変換の利用」のテーマで原発問題を取り上げていた。エネルギー変換の学習に取り組む前に、東日本大震災に伴う原発事故についてのアンケートを行い、チェルノブイリ原発事故と東京電力福島第1原発事故の比較をまとめさせ、原発事故の実態を学習。そのあと水力、火力、原子力の発電の仕組みを学び、放射能や放射性廃棄物の問題について、自分の考えを感想文にまとめる、という内容で授業が進められた。
担当教員は「安倍首相は原発事故を意図的に小さく見せ、事実を隠蔽(いんぺい)して私たち国民をだまそうとしている。私たちが知り得る情報のほとんどはマスコミからだけだが、そのマスコミは一部を除いて福島原発事故を意図的に小さく扱い、中にはなかったかのように無視しているマスコミさえある」とリポートでまとめている。
もちろん地道な努力や工夫を積み重ねた授業の報告も少なくない。だが、目立っていたのは、紙面で紹介された教育専門家の言葉を借りれば、「イデオロギー教育の“手柄話”の発表会」的色彩だった。
そしてこの3日間、主会場の大津市街地は、抗議団体の街宣車による騒音と渋滞に悩まされ続けた。滋賀県警によると、期間中延べ130台の街宣車が集まったという。拡声器でがなり立てられる怒号のような“主張”、測定器を手にする警察。音声が条例の規定値を超えると警告を発する…。
これも、開催地がどこであろうと繰り返される例年通りの光景だ。抗議内容について、万が一にも市民の共感を得たいと考えているなら、もっと他にやりようがあるだろうに。
双方とも毎度おなじみ、うんざりするような予定調和だ…などと思っていたら、教研集会を総括した最終日の記者会見の中で、主催者側がこんな発言をしていた。
「集会は公開が原則。一部の報告者が取材を拒んでいたのは残念で、今後は自由に報道してもらえるよう対応を検討したい」と。手柄話の発表会が、少し変わるかもしれない、と期待を抱かせる言葉だった。(大津支局 小林宏之)