天童・中1死亡から1カ月−いじめ把握へ再調査 全生徒対象に2度目聞き取り

天童・中1死亡から1カ月−いじめ把握へ再調査 全生徒対象に2度目聞き取り
山形新聞 2014年2月7日(金)11時26分配信

 天童市南小畑5丁目のJR奥羽本線で先月7日、市内の中学1年の女子生徒(12)が山形新幹線つばさにはねられ死亡した事故は、7日で発生から1カ月が経過した。100人以上の生徒が女子生徒へのいじめを認識していたとされ、学校は全校生徒を対象に個別面談を実施したが、依然としていじめの実態はつかめていない。校内アンケートで直接いじめを見聞きしたとする生徒13人の情報の裏付けに主眼を置き、学校は再度、全校生徒の聞き取りを進める。

 死亡した女子生徒は、ノートにいじめを受けていたと記していた。これを受けた全校生徒対象のアンケートで、約530人のうち百数十人がいじめを認識していたことが分かった。こうした情報がありながら、市教育委員会と学校は、まだいじめの実態把握に至っていない。

 学校はアンケートを実施した後、クラスごとに担任による個別面談を行い、心のケアと同時に、いじめに関する聞き取りを行った。しかし「具体的ないじめを示す情報はなかった」(市教委)とされる。

 アンケートでいじめに関する記載がなかった約40人の教職員については、先月末から一人につき30分〜1時間程度の面談を実施。市教委は「(今回の事故を受け)体調が優れない教職員もおり、全員の面談は終わっていないが、現時点(6日)でいじめの情報はない」とする。

 いじめを認識していた100人以上の生徒の情報について、市教委は事故後に広まったうわさや伝聞が多数を占めるとみており、直接見聞きしたとする13人の記載内容を重視。これを裏付けるため、2度目の個別面談を今週スタートさせており、徐々に対象者を絞り込む考え。市教委、学校とも女子生徒が残したノートの記載内容を直接確認できていないことも調査が遅れる要因となっている。

 実態解明に至らない状況について、市教委は「在校生への配慮もあり、時間を要している。第三者委員会に提供すべき確実な情報も得られておらず、調査を急ぎたい」とする。遺族の要望を受け、第三者委員会は県弁護士会、県医師会、県PTA連合会、人権擁護団体から委員を選出する予定で、各団体に推薦を依頼している段階。

「訴え」校内で共有せず
 今回の事故は、女子生徒が死亡する前に本人と母親がそれぞれ悩みを訴えながら、学校が状況を把握できなかった点が問題視されている。

 生徒の母親は昨年6月と7月、部活動での孤立を心配し担任に対応を求めた。担任から連絡を受けた顧問は部活の様子を見守り、周囲に話を聞くなどしたが、本人も「楽しい」と答えたことから、問題がないと判断した。

 さらに昨年9月には本人が校内調査で友人関係の不安を訴えたが、担任が尋ねると「自分で解決したい」と語ったため、深刻な問題とは捉えられなかった。こうした動きは校長に報告されず、校内でも共有されなかった。市教委は「孤立している生徒について、いじめがあるとの前提で対応していなかった」と指摘する。

 いじめ対策が形骸化している可能性もあり、市教委は市内の全小中学校に▽いじめの実態把握の方法▽いじめを認知した際の報告・情報共有▽いじめ解決に向けた態勢―などを再点検するアンケートを送付、7日までの回答を求めている。

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