免許外指導が常態化 公立中で4年前の1.5倍 静岡県内
@S[アットエス] by 静岡新聞 2014年3月1日(土)14時7分配信
臨時講師(常勤講師)による違法な免許外指導が2013年度に6件判明した県内公立中学校。正規教諭が免許外の教科を指導したケースも13年度393件あり、4年前の1・5倍に上ることが28日、県教委への取材で分かった。各学校が教育委員会に申請すれば認められる適法行為だが、専門教科外指導が中学校で常態化している様子がうかがえる。
専門教科外の指導は、学習指導要領改定や静岡式35人学級による授業数増の影響とみられる。関係者からは「教員免許制度の意味がなくなる」と教育の質低下を懸念する声が上がっている。
「子どもがかわいそうになる」。県西部のある中学校の40代女性教諭が嘆いた。技術・家庭や保健体育など技能教科で、教諭の免許外指導や非常勤講師の指導が多く、中学3年間で1度も正規教諭の指導をうけられない生徒もいるという。この教諭も家庭科の免許外指導をしたが、「申し訳ない気持ちでいっぱい」と本音を漏らす。
近年は技能教科だけでなく、国語や数学など主要5教科でも免許外指導の申請数が増えている。
臨時講師に免許外指導をさせた複数の中学校長は「法律違反は反省しなければいけないが、子どもの学力を考えた末の結果だった」と打ち明ける。
適法な教諭の免許外指導より、小学校教員としての指導経験があったり、該当教科が得意だったりする講師の方が生徒に学力を定着できると考えたと説明する校長もいる。
教諭の大量退職期を迎え、講師は増加傾向にある。採用する教諭を急増させると質の低下や年齢構成の偏りを招く可能性があるためという。ある校長は「未熟な講師による中3の学級担任も避けられなくなっている。ただ、保護者には誰が講師か教諭か分からない」と、申し訳なさそうにつぶやいた。
教諭と講師 教員採用試験に合格し、正規職員に当たるのが教諭。非正規職員に当たる講師は原則として1年ごとの契約になる。講師には臨時講師(常勤講師)と非常勤講師がいる。臨時講師は教諭と同様に学級担任や部活動顧問などを担当できる。非常勤講師は1時間単位の授業を持つことが多い。教科担任制の中学校は教科ごとに免許が必要。免許のない教科の指導は教諭は許可を受ければ可能で、講師は違法行為になる。