小田原市、いじめ防止の基本方針策定作業が本格化/神奈川

小田原市、いじめ防止の基本方針策定作業が本格化/神奈川
カナロコ by 神奈川新聞 2014年3月15日(土)9時0分配信

 いじめ防止対策推進法が昨年9月に施行されたのを受け、小田原市内の各市立小中学校も基本方針の策定に向けた作業を進めている。市教育委員会は、各校独自の具体策を盛り込み、3月末までの策定を目指す考え。ただ、作業が本格化したのは年明けからで、厳しいスケジュールの中で対応に苦慮する学校現場も見られる。

 同法は2011年10月、大津市の中学2年の男子生徒がいじめを苦に自殺した事件などを契機に議員提案され、13年6月に成立した。インターネット利用を含むいじめの定義を明確にし、国、自治体、学校の責務などを明記したのが特徴だ。

 同法で策定が義務付けられた学校基本方針は「行動計画に近いもの」とされ、いじめの未然防止、早期発見、早期対応・解決について、実効性のある具体的な内容を求めている。

 国が基本方針を決めたのは同年10月で、通知を受けた各校は11〜12月に事前準備に入った。同法に策定期限の定めはないが「できるだけ早く」とされており、小田原市教委は年度内に設定した。

 基本方針の策定に当たり、学校独自の検討が必要として例示されたのは十数項目に及ぶ。教員研修などの年間計画への位置付けのほか、いじめ自殺などを重大事態と捉え第三者による調査組織の設置など、従来、学校単独では対応が難しかったものも含まれている。

 市内のある校長は「ミスが多発した通知表作成は十分な確認作業が必要な上、卒業式、入学準備などで最も忙しい時期とも重なっており、策定時間の確保に苦労している。作業は月末ギリギリまでかかりそうだ」と話している。

 一方、県がまとめた基本方針案(3月下旬に策定見込み)では、策定に当たり「検討段階から保護者や地域の参画」「児童・生徒の意見を取り入れる」などの措置も求めているが、小田原市は学校主体で策定作業を進めている。

 市教委は「いじめ対策はこれまでも実施してきており、主に整理する作業になる。まずは各校が形をつくることを優先させた。保護者や地域の協力が重要であることに変わりはない」と説明。4月以降に基本方針を公開し、点検・見直しの過程で保護者らの意見を反映していくとしている。市の基本方針は秋に策定する予定。

 市内の12年度のいじめ認知件数は小学校27件、中学校60件で、いずれも前年度に比べ増加している。注目された大津市での事件後の13年4月、隣接の湯河原町でも中学2年の男子生徒が、いじめが原因で自殺する問題が起きた。

 悲惨ないじめ事件が繰り返される中、今回の法制化の意義をしっかりと認識し、克服に向けて社会全体の取り組みとなるような有効策の提示、運用が急がれる。

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