<北朝鮮>学校が無理な金銭要求で不登校の子供増加

<北朝鮮>学校が無理な金銭要求で不登校の子供増加
アジアプレス・ネットワーク 2014年4月1日(火)13時34分配信

◇12年制義務教育開始で発電機、液晶テレビの費用まで要求
この4月1日から、北朝鮮では学制が変わる。従来の11年制義務教育制度を1年伸ばして12年制にする。昨年9月に開催された最高人民会議の第12期6次会議で決められた。

北朝鮮当局はこの決定を「金正恩同志の崇高な祖国観、後代観、未来観が集約された重大措置」として、官営メディアを通して大々的に宣伝した。だが、義務教育延長を歓迎すべきであった父兄たちの態度は、冷ややかであった。学校当局による各種の金銭要求に苦しむ父兄たちの心情からすると、通学期間が1年さらに延びる新制度は、決して喜ぶべきことではなかったのだ。すでに、新学期が始まる前から、学校当局は親たちに様々な名目を突きつけ金を要求している。

3月6日と26日の二度、アジアプレスでは、新義務教育制度について国内の雰囲気を北部の国境地域に住む取材協力者に聞いた。12年制義務教育の実施と関連した学校当局による金銭要求の実態について、次のように伝えてきた。
「今、学校では12年制教育の実施のために父兄会議をしばしば開くが、あれを出せこれを出せという要求がもの凄いです。教育方法が新しく改善されるからと液晶テレビやコンピュータも買わなければならないとして父兄たちに金銭負担を要求するのです。教師は『これがないと子供たちは勉強できない』と理屈を言い、他にも磁石が付けられる黒板や、電気がほとんど来ないからと、(自家発電用の)太陽光発電板も要求しています」
と伝えた。

具体的にどれぐらいの金額を学校当局は要求しているのだろうか?この北部地域の都市の場合について、協力者は次のように答えた。
「生徒一人当たり、朝鮮のお金で4万ウォン、あるいは中国人民元で35元ずつを学級別に集めています。学校に子供二人が通えば8万ウォンにもなってしまう。こんなに金を払ってどうやって学校に送れるのかと、親たちの不満は強い。とにかく学校に行けばお金を早く持ってこいと要求されるので、多くの家庭で子供たちを学校に送れなくなっていまます」
※現在、100円は約7500ウォン。

北朝鮮生活の経験者として、彼らの心情は十分に理解できる。持続的な経済難に苦しむ北朝鮮では、義務教育制だといっても地方教育機関の場合、当局の支援は皆無だ。したがって学校施設の保守と補充は、すべて生徒たちからお金を徴収してやっている状況だ。さらに、教育と関係ない各種社会的支援や動員などの名目で、子供や親にしばしば奉仕労働を強要するため、子供のいる家庭の心理的、財政的負担はとてつもなく大きいのである。
北朝鮮政府が「わが制度の優越性」と宣伝する無償教育制など、今やまったく名ばかりになった。

※ これまでの11年制義務教育は、1972年7月に朝鮮労働党中央委員会第5期4次全体会議で決定され、1975年から実施された。今回新しく始まる12年制は、小学校4年制を1年伸ばして5年制にするもの。

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