採点ミス、公表せず 奈良教育大「合否影響なし」
産経新聞 2014年4月22日(火)15時25分配信
国立奈良教育大(奈良市)の教育学部音楽教育専修の平成24年度入試後期日程で、実技の基礎知識を問う科目「楽典(がくてん)」に出題26問中、6問で採点ミスがあったことが22日、大学関係者への取材で分かった。採点に使用する模範解答例の誤りが原因。外部からの指摘を受け、採点し直したが、「合否に影響はない」として公表していなかった。
試験は平成24年3月に実施され、男女23人が受験し、3人が合格。倍率は7・7倍だった。楽典は、音譜を読んだり書いたりするために必要な知識を問う筆記試験。大学によると、後期の配点はセンター試験500点と、楽典と実技検査500点の計千点満点だった。
大学が作成した模範解答は、和音の種類を問う問題の正解が「属七(ぞくしち)」なのに「長(ちょう)」となるなど、全26問中3問が明らかに不正解だった。さらに3問は2種類の正答があるのに1種類しか明記されていなかった。
24年10月に過去の入試問題を取り扱う出版社からの問い合わせでミスが発覚。大学は11月に採点し直し、12月に調査委員会を発足させたが、問題を作成した音楽講座の教授ら関係者6人を口頭注意しただけで公表せず、文部科学省にも報告していなかった。文科省は「当時の判断は適切ではなかった」としている。
奈良教育大では、同じ年度の24年度入試前期日程の楽典で別の出題ミスが発覚。24年11月に公表している。