3Dプリンターで拳銃製造、銃刀法違反容疑で男逮捕 全国初、神奈川県警

3Dプリンターで拳銃製造、銃刀法違反容疑で男逮捕 全国初、神奈川県警
産経新聞 2014年5月8日(木)11時41分配信

 3D(3次元)プリンターで製造した殺傷能力のある拳銃を所持したとして、神奈川県警は8日、銃刀法違反(所持)容疑で、湘南工科大学(同県藤沢市)職員、居村佳知(いむらよしとも)容疑者(27)=川崎市高津区久末=を逮捕した。県警によると、3Dプリンターで製造した銃に絡んで同法を適用するのは全国初。

 逮捕容疑は4月12日午前10時25分ごろ、自宅で拳銃2丁を所持したとしている。「銃が大好きで、日本でどうしたら持てるか考え、自分で造ろうと思った」と供述、容疑を認めているという。

 県警薬物銃器対策課によると、4月12日に居村容疑者宅を家宅捜索した際、3Dプリンターで製造したとみられる樹脂製の拳銃5丁を押収。鑑定の結果、うち2丁は厚さ2・5ミリのベニヤ板を11〜15枚撃ち抜くことができ、殺傷能力は基準の5倍以上だった。実弾は見つかっていない。

 プリンターは外国製の組み立て式で、インターネットを通じ約6万円で購入。銃の設計図は「米国のサイトからダウンロードし、さらに改造した」と供述し、県警は武器等製造法違反の疑いでも調べる。

 製造した拳銃で自ら空砲らしきものを撃つ動画を動画投稿サイト「ユーチューブ」に投稿。同課は1月にこうした事実を把握し、捜査を進めていた。

 県警は8日、湘南工科大学を捜索し、居村容疑者のUSBメモリー数本を押収した。同大の茂田努コンプライアンス担当理事は「逮捕されたことは誠に遺憾」とのコメントを発表した。

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樹脂製3Dプリント銃、金属探知機で検知できず
読売新聞 2014年5月8日(木)22時19分配信

 3Dプリンターで製造されたとみられる樹脂製拳銃(3Dプリント銃)が国内で初めて警察に押収された事件で、銃規制の専門家らは、懸念していた事態が現実になったと、危機感を募らせる。

 神奈川県警は、銃刀法違反容疑で8日に逮捕した私立大学職員の居村佳知容疑者(27)(川崎市高津区)が、インターネットでプリンターと銃の設計データを入手し、自宅で一人、製造したとみて捜査している。

 居村容疑者は今年4月から、理系大学で契約職員として勤務していた。高等職業技術校を卒業し、旋盤などの技能資格を持っていたが、大学によると、学内にある3Dプリンターは業務上も業務外でも使用したことはないという。

 「国内の銃規制を根底から揺るがす事態だ」。銃犯罪に詳しい立正大の小宮信夫教授(犯罪学)は今回の事件を、こう表現する。

 小宮教授によると、日本は、原則として製造も所持も禁止する厳格な規制を取ってきた。暴力団など反社会的勢力が扱う銃も、大半は海外からの密輸。だが、3Dプリント銃の出現で、一般の市民による拡散が容易になる可能性が出てきた。

 3Dプリンターを巡る法律を研究している新潟大の須川賢洋助教(情報法)は、今回押収された3Dプリント銃のように樹脂製であれば、空港やスポーツイベントなどで使用される金属探知機で検知することができないと、新たな危険性を指摘する。

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3Dプリンターで拳銃製造・所持の男、制作過程をネットで公開
フジテレビ系(FNN) 2014年5月8日(木)17時44分配信

ものづくりの革命といわれる「3Dプリンター」。この3Dプリンターを使って製造した殺傷能力のある拳銃を所持していたとして、8日、27歳の男が逮捕された。

カメラの前で、ポーズをとる1人の男。
両手で握られた青い物体からは、パン、パンと火薬がはじける音が響く。
男が手にしていたのは、実弾の発射が可能な拳銃だった。
8日午前6時前、神奈川県警の捜査員が銃刀法違反の疑いで家宅捜索に入った。
8日朝、自宅から連行されたのは、湘南工科大学の職員・居村佳知容疑者(27)。
神奈川県警は、銃刀法違反の疑いで居村容疑者を逮捕した。
FNNのカメラが逮捕状執行の現場をとらえた。

捜査員「はい、逮捕状ね。いいね、逮捕状」
居村容疑者「ちょっといいですか。目がかゆいので」
捜査員「目がかゆい? 事実ね…」
居村容疑者「はい。あとで見せてもらっていいですか?」
捜査員「今やらなきゃいけない」
捜査員「被疑者の居室において、手製拳銃2丁を所持したものである。という事実で、あなたを通常逮捕します。認める? 認めない?」、「この事実は間違いない?」
居村容疑者「手製拳銃…」
捜査員「認めなかったらいいよ、別に」
捜査員「手製拳銃2丁を所持した事実なんだけど、認めますか? 認めませんか?」
居村容疑者「向こう(警察)が手製拳銃というのなら、所持を認めます」
捜査員「向こう(警察)が手製拳銃というのであれば、所持を認めるということね」
居村容疑者「言われたんなら、どうしようもないです」
捜査員「はい、わかった。もういい。(午前8時)46分通常逮捕。閉めて、ドア閉めるよ」

殺傷能力がある樹脂製の拳銃2丁を所持していた疑いが持たれている居村容疑者。
その製造に使われたのが、3Dプリンターだった。
21世紀の産業革命とうたわれ、パソコンなどに打ち込まれた3次元データをもとに、樹脂を使い、緻密なデザインの立体物を作ることができる3Dプリンター。
10万円前後で買える機種も登場するなど、2013年、国内のヒット商品番付にもランクインした。
居村容疑者は、アメリカで個人が公開していた3Dプリンター製の拳銃の設計図をもとに、銃を作ったとみられている。
アメリカでは、実際に銃を製造できる設計データがインターネット上で公開されるなどして、世界的な問題となった。
さらに最近では、3Dプリンターで金属製の拳銃を作る会社まで登場した。
警察によると、居村容疑者は、アメリカで個人が公開していた設計図をダウンロードして、3Dプリンターで銃を製造したという。
さらに居村容疑者は、3Dプリンターで銃を作る様子を、動画投稿サイトなどで公開していた。
軽快な音楽が流れる中、3Dプリンターで製造されていく銃。
居村容疑者は、こうしてYouTubeや自身のウェブサイトで、制作の様子などを紹介していた。
警察は4月、居村容疑者の自宅を家宅捜索した。
3Dプリンターで作ったとみられる拳銃5丁を押収した。
その後、科学捜査研究所で金属製弾丸を発射したところ、そのうち2丁に、基準の5倍以上の殺傷能力が認められ、特に青い銃については、ベニヤ板15枚を打ち抜くほどの威力があったという。
居村容疑者は、で、「銃刀法に適合するようにモデルガンとして製作している」と、あくまでもおもちゃであることを強調していた。
しかし、その一方で、「有事の際は、インサートを除去し実弾が撃てます。世界の人々に武装の自由を!!」と、堂々と実弾の発射が可能ともうたっていた。
しかも、弾丸の作り方と題して、実弾の製造方法を伝える動画も公開していた。
そして、ウェブサイトには「わたしの銃に対する考え 銃を持つ権利は基本的人権、人間の尊厳を懸けて銃を規制しようとする動きに立ち向かうべき」というメッセージも載せていた。
川崎市内にある住宅で、両親と暮らしていた居村容疑者。
居村容疑者の父親は「(居村容疑者は、何歳から銃に興味を?)友達と小学校の時に、何人かでもってパンパンパンと撃って、その程度です。(3Dプリンターはいつどこで購入?)何カ月か前に、インターネットで、アメリカで一番安いのを取り寄せたみたいです。(居村容疑者が銃を作っているのは知っていた?)知っています。弱い人は(銃を)持たないといけない、そういう考えがある」と語った。
居村容疑者は、2014年4月から湘南工科大学の機械工学科の非正規職員として勤務していて、実験の授業で、助手として旋盤などを使った作業を行っていたという。
警察の取り調べに対して、居村容疑者は「警察が、殺傷能力を認定したなら仕方がない」と供述しているという。
3Dプリンターで製造された拳銃の所持について摘発されたのは、全国で初めてとなる。
今回の事件を受け、警視庁薬物銃器対策課の花岡和道課長は「3Dプリンターによる拳銃の密造は、新たな形態の犯罪であると認識しておりまして、今回の事案は、わが国で初めての検挙事案となります。今後の3Dプリンターの普及とともに、同種事案の発生が懸念される。警察としては、この種の事案の情報収集を行い、しっかり取り締まっていく」と話した。

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