<剣道熱射病死>「公立校での教諭賠償責任」控訴審も認めず

<剣道熱射病死>「公立校での教諭賠償責任」控訴審も認めず

毎日新聞 2014年6月16日 18時51分配信

 ◇大分県立竹田高訴訟で福岡高裁判決

 2009年8月に大分県立竹田高剣道部の練習中に倒れ、熱射病で死亡した部員の両親が、当時の部顧問と副顧問の男性教諭2人に約5800万円の損害賠償を求めた訴訟で、福岡高裁(高野裕裁判長)は16日、県などにのみ賠償を命じた1審・大分地裁判決を支持し、両親の控訴を棄却する判決を言い渡した。公立校での生徒の死亡事故への教諭の賠償責任が争点だったが、1審判決と同様に個人は責任を負わないと判断した。両親は上告する方針。

 部員は主将で2年だった工藤剣太さん(当時17歳)。1審判決は「公務員が職務中に起こした損害の賠償責任は自治体や国が負う」とする国家賠償法に基づき2人への請求を棄却。両親は個人に賠償責任がある私立校と比べ不公平と訴えたが、高野裁判長は「私立校と一律に論じられない」と主張を退けた。

 1審判決は、2人が激しい練習で意識障害に陥った工藤さんに練習を続けさせ、顧問は「演技するな」と腹を蹴ったり、顔を約10回平手打ちしたと指摘。応急措置を怠った2人の過失を認めたものの、国家賠償法に基づき県などにのみ約4700万円の支払いを命じた。県などは控訴しなかったが、両親は「悪質な公務員個人にも責任をとらせたい」と2人の賠償認定を求め控訴していた。【山本太一】

しかし、意識が混濁する剣太さんを救護するどころか、腹を蹴り、10回も顔を平手打ちした当時の顧問と、それを見過ごした副顧問の賠償責任は問われぬまま。父英士さん(48)は県弁護士会館での記者会見で厳しい表情を崩さなかった。

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