柔道授業「大けが避ける指導」構築 県内中学体育全教員が講習受講
山形新聞 2014年9月15日 10時20分配信
中学校で武道の授業が2012年度から必修になったことを受け、県教育委員会は事故防止を目的にした安全指導講習会を展開、県内全ての体育教員の受講が完了した。大半の中学校が選択している柔道に関する内容で、専門外の教員でも効果的に教えられるようアドバイス。武道の授業中に生徒がけがをした件数が12、13年度合計で100件以上という状況を踏まえ、県教委は来年度以降、新卒採用者を中心にした講習会の開催を検討している。
武道は柔道、剣道、相撲の中から、学校ごとに1競技を選択する。それぞれ年間平均授業時間は10時間程度。県教委スポーツ保健課によると、12年度以降、県内の中学校全102校のうち9割以上が柔道を取り入れている。
11年度まで武道は選択制で、必修化に伴い全ての子どもたちが学ぶことから、けが防止に向けた指導体制の構築が急務となった。市町村教委は独自に教員対象の指導講習会の場を設け、県教委としては12年度、文部科学省主催の講習会に教員を派遣。13、14年度は文科省の「柔道指導の手引」を作成した磯村元信都立秋留台高校長(全日本柔道連盟教育普及委員)を講師に招いた講習会を開き対応した。
今月11日に天童市の県総合運動公園で開いた講習会で、磯村校長は柔道に臨む姿勢について「力は7割、思いやりが3割」と強調。対人礼法などで相手を敬う態度を育むことが、事故防止につながるとした。2人一組になり、片方が支えて倒れ方に慣れるなど基礎練習から取り組むよう指導し、約70人の参加教員からは「(柔道経験のない)女子生徒も痛い思いをせずに楽しくできそうだ」「練習のポイントが分かった」との声が上がった。
12、13年度の県内の武道授業中のけがの件数は計120件ほどで、内訳は捻挫などの軽傷から鎖骨の骨を折るなどの大けがもある。県教委スポーツ保健課は、文科省の「柔道指導の手引」を県内全教員に配布しており、「(実施してきた講習会の)指導内容を徹底すれば大けがは避けられるはず。その上で現場の教師が独自の考え方を付け加え、授業を発展させられるようにしたい」としている。