(朝鮮日報日本語版) 韓国ではびこる大学の誇大広告
朝鮮日報日本語版 2014年9月21日(日)7時6分配信
「Job First、最高の就職神話。A工業大学では就職の心配がありません。地域最高の就職中心大学としてそびえ立っています」
これは、A工業大学のホームページに載っていた紹介文だ。同大学の昨年の就職率は46.5%、今年は48.1%だった。地元の二年制私立大学だけでなく、全国の二年制私立大学の中でも最下位クラスの水準だ。にもかかわらず、堂々とこんな広告を出していたのだ。
B大学は、ホームページで「世界の大学約50校と学士交流」を行っていると宣伝していた。しかしこの大学が実際に交流していたのは、昨年時点で2カ国の2大学のみ。C大学は、韓国内外の学術誌に教授1人当たり4.36本の論文を載せたとして日刊紙に紹介された。しかし、同大学の教授らの論文掲載数は、実際には1人当たり1.6本にすぎなかった。こうした虚偽広告は、一部の大学だけの問題ではなかった。
国会教育文化体育観光委員会に所属する与党セヌリ党の朴大出(パク・テチュル)議員が教育部(省に相当)から入手した資料によると、2012年から今年1月までに計160の大学が、ホームページや随時・定期募集パンフレットなどで大学情報の虚偽・誇大広告を行ってきたという。韓国の大学の3校に1校以上が、学生たちをだましてきたというわけだ。大学が虚偽・誇大広告で是正措置を受けた件数も251件に達する。是正措置を受けた大学のうち四年制大学は85校で、半数を超えた。この中には、ソウルの有名私立大学も一部含まれていた。
違反事項のうち、卒業生の就職状況を誇張したものは234件で、全体の90%を占めた。教育部の関係者は「就職率は、大学の志望率や知名度に直接的な影響を与えるため、各大学が誇張に走っている。数字を高めるため校内企業に就職させ、就職率を水増し集計するケースも1件や2件ではない」と語った。
ある大学は、ホームページで「最近3年間の卒業生の就職率は約92%に上っている」とPRしていた。しかし、この期間の実際の就職率は58.8%だった。卒業生の就職率を偽って昨年7月に摘発された京畿地方のある大学の在校生は「特性化大学なので就職率は当然高いと思って志望した」「全く同じ点数で別の選択もできたのに、結局広告を信じて志望した学生は詐欺に遭ったことになる」と語った。
奨学金の受給率、授業料の金額、外国の大学との交流状況などの誇張も多かった。平均授業料が韓国で上位第7位なのに、ホームページで「国内で最も安い授業料」とPRしていた大学もあった。ある大学は、奨学金の規模が年間30億ウォン(現在のレートで約3億1000万円、以下同じ)台なのに「年間約60億ウォン(約6億2000万円)の豊かな奨学金を支給」と2倍に水増しした数字を地下鉄の車内広告に掲げ、摘発された。
大学が虚偽広告を行った場合、教育部は「教育関連機関の情報公開に関する特例法」に基づき、是正措置を科す。最初の違反では、年度入学定員の10%の範囲で学生募集を停止させることができ、2回目の違反では、総入学定員の10%の範囲で定員削減を命じることができる。しかし各大学は、こうした罰則が、教育部の是正措置を履行しなかった場合にのみ適用されるという点を悪用した。一部の大学は、まず是正措置を行っておいて、その後再び虚偽広告を出すということを繰り返した。加耶大学など13校は2年連続で、江陵嶺東大学は3年連続で虚偽・誇大広告を行い、摘発された。
教育部は「年に2−3回モニタリングを行って大学の虚偽・誇大広告を摘発し、是正措置を取っている」と語った。しかし「是正措置」は、大学側に積極的な釈明広告を要求するものではなく、インターネット広告を出すというレベルだ。印刷メディアを通してばらまかれた広告は、修正が不可能だ。朴大出議員は「随時募集(推薦入試・一芸入試など一般入試以外の試験)が盛んな今の時期、受験生や保護者は大学の広報物の刺激的な文言に釣られず、慎重に選択すべき。知性の殿堂たるべき大学が商売人のような虚偽広告を出すという行為を根絶するためには、厳格な処分が必要だろう」と語った。