名門吹奏楽部カリスマ顧問 女生徒がセクハラ行為の手口告発
NEWS ポストセブン 2014年10月16日(木)16時6分配信
吹奏楽の全国大会常連である東海地区の名門高校は、一体となって創り出す「音色」が高く評価されている。その音色の生みの親であり、同校を全国レベルに押し上げたカリスマ指導者・Y氏(69)にセクハラ疑惑が浮上した。
「思い出したくない記憶。でもあの時の全身が凍りつくような感覚は、今でも夢に出てきてしまう。私の高校時代を返してほしい」
卒業から3年半、唇を噛みながらこう訴えるのは清水朋子さん(仮名・22)。私立安城学園高校(愛知県安城市)の卒業生で吹奏楽部OGである。朋子さんに対するセクハラ行為とは、どんなものだったのか。
「入学直後から、手を握る、顔を近づける、肩を組むなどの行為がありました。誰にでもそうするわけではなく、お気に入りの女子生徒に対してだけだったようです」(朋子さん)
セクハラ行為がエスカレートしたのは2010年4月、朋子さんが3年生に上がったばかりの頃だ。吹奏楽部の練習場の入り口には大きなホワイトボードが置かれている。そこにその日の練習メニューや部員の出欠が記される。
「そのホワイトボードを見ている時に、Y先生が後ろから『おはよう』と声をかけながらお尻を触ったんです。軽くタッチというよりは、ムギュッとつかむような手の動きでした。触られた時は全身が凍りつきました。でも、先生に対して嫌とはいえず、『おはようございます』と挨拶を返すことしかできませんでした」
お尻を揉みしだく行為は、その後も5回ほど繰り返されたという。朋子さんがセクハラを受けている現場を目撃していた部員もいた。
「練習場に向かっている時に見たんですが、先生はたしかに朋子さんのお尻を触っていました。ソフトタッチというよりは、両手で下からベタッという感じで触っていた」(吹奏楽部OB)
実はY氏のセクハラ行為を訴えたのは朋子さんだけではなかった。この吹奏楽部OBは別の女子部員からも相談を受けたという。
「彼女もやはりホワイトボードの前でお尻を触られて、すごく嫌だったといっていました。朋子さんから相談されていたこともあり、僕たちだけでは何もできないので、副顧問の先生に相談したんです」(同前)
この報告を受けた副顧問がY氏に問いただすと、「ただのコミュニケーションだ」と平然と答えたという。だが、本人もさすがにマズイと思ったのか、それを機にセクハラ行為はいったんは収まった。ところが──。
「1週間ほどすると、手を握る、顔を近づけるといった行為が再び始まりました」(朋子さん)
相変わらず一部の女子生徒に不快感を与え続けたが、同年10月に事態は動いた。ある女子部員がお尻を触られる被害を生徒指導部に訴えたことで、学校側がセクハラ問題を把握した。学校側は調査に乗り出し、11月に臨時保護者会を開催。さらに部員の保護者やOB・OGでつくる後援会との間で会談が重ねられた。翌2011年1月、朋子さんは校長室に呼び出された。
「校長先生から、『Y先生はセクハラを認めて反省している。許してやってほしい』といわれましたが、『許せない』という思いだけが残りました」(朋子さん)
結局、Y氏から朋子さんへの謝罪は一切なく、朋子さんが卒業するまで吹奏楽部の指導は何事もなかったように続けられた。今回の告発をY氏はどう受け止めるのか。直撃した。
──2010年にセクハラを受けた元生徒がいる。
「あ、そんなの解決ずみですよ」
──セクハラ行為はあったということか?
「ありませんよ、そんなの」
──元生徒が被害を訴えている。セクハラの事実は一切ないのか。
「はい。頑張れよ、と肩を触るとかそういうことはありますよ」
──(セクハラ行為に)「おじいさんは許される」といったのか。
「同僚に冗談でそういう話をしたことはありますけど、実際にその言葉どおりじゃないですよ」
その後は何を聞いても「いっぺんその人と会わせてくださいよ」と繰り返すばかりだった。
※週刊ポスト2014年10月24日号