<東大論文不正>33本データ捏造、11人関与 最終報告書

<東大論文不正>33本データ捏造、11人関与 最終報告書
毎日新聞 2014年12月26日 12時3分配信

 東京大分子細胞生物学研究所の加藤茂明元教授のグループによる論文不正問題で、同大科学研究行動規範委員会は26日、論文33本でデータ捏造(ねつぞう)などの不正行為があったとする最終調査報告書を発表した。当時の教員ら11人が不正行為を行ったと認定。このうち加藤氏など教員だった6人はいずれも退職したが、「懲戒処分相当の可能性がある」との見解を示した。

 記者会見した浜田純一学長は「不正行為と認定された論文が多数に上り、学術の健全な発展を大きく揺るがしたことは誠に遺憾」と謝罪。12月から来年2月までの3カ月間の報酬について10分の1を返納すると述べた。

 不正行為が認定された教員は、加藤氏▽柳沢純氏(当時助教授)▽北川浩史氏(同特任講師)▽武山健一氏(同准教授)▽高田伊知郎氏(同助教)▽藤木亮次氏(同助教)の計6人。また、論文の筆頭著者だった学生や研究員の5人も不正にかかわったと判断した。東大で学位を取得した6人について、学位の取り消しに当たるか審議を開始した。研究室は15億円の研究費を得ている。研究費の返還も検討する。

 同委員会は、外部からの指摘や大学の予備調査を受け昨年9月に調査を開始。昨年12月には加藤氏らの論文51本について、不適切な図などが計210カ所あったと公表した。その後の調査で、このうち計33本の論文に、画像の加工や張り合わせの跡などが確認され、同委員会は「論文に捏造や改ざんがあった」と結論付けた。

 最終報告書は、不正行為が多数に及んだ背景について、「加藤氏は、著名な学術誌への論文掲載を過度に重視し、そのためのストーリーに合った実験結果を求める姿勢が甚だしく行き過ぎていた」と指摘。研究室の中心的役割を担った柳沢、北川、武山各氏がこれを助長し、データの取り扱いに関する不適切な指導や実施困難な計画設定、学生への強圧的な指示の常態化など、研究室の運営に問題があったと判断した。【河内敏康】

 ◇徳島大、北川氏の博士号取り消し

 東京大分子細胞生物学研究所の加藤茂明元教授のグループによる論文不正問題に関連して、徳島大は26日、当時研究所の特任講師だった北川浩史・元群馬大教授に対し、2002年に授与した医学博士号を取り消したと発表した。決定は22日付。

 徳島大によると、不正と認定された論文のうち、北川氏が筆頭筆者だった論文の1本が徳島大で博士号を取得する根拠となっていた。論文は既に撤回されている。【加藤美穂子】

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