判決批判を引用…実は自ら匿名で執筆 3弁護士を戒告
朝日新聞デジタル 2015年3月7日 9時30分配信
民事訴訟の代理人を務めた弁護士が、匿名で判決を批判する記事を書き、他人の意見であるかのようにして控訴を申し立てる書類で引用した――。そんな行為があったとして、日本弁護士連合会が、国内最大手の弁護士事務所に所属する弁護士3人を戒告の懲戒処分にした。「フェアな姿勢が期待される弁護士として品位を失う行為だ」と批判した。一方、3人は「弁護士活動への過度な規制だ」として処分の取り消しを求めている。
処分を受けたのは「西村あさひ法律事務所」(主事務所・東京)に所属する3人の男性弁護士。このうち1人は50代で、国内外の大学で講師や客員教授を務め、企業の社外監査役もしている。別の1人は40代で裁判官出身。もう1人は30代。
日弁連が公表した処分理由などによると、3人の弁護士は、株の誤発注をめぐる損害賠償訴訟の原告側の代理人を務めた。東京地裁は2009年12月、請求の一部を認める判決を出したが、原告側は不服として控訴。3人は四つの法律雑誌に判決の論評を載せるよう働きかけ、批判的な記事を書いた。記事は、匿名や「編集部」の名義で掲載された。
その後、弁護士らは裁判所に出す控訴状に記事を引用。「すでに公刊物でも指摘されているが、一審判決は様々な矛盾点や疑問点を内包している」とした。