仙台、いじめで中1自殺 第三者委「学校対応に問題」
産経新聞 2015年8月22日 7時55分配信
仙台市の中1男子生徒の自殺をめぐっては、市教委の調査結果で、数カ月にわたる同級生の「いじめ」が明らかになった。保護者を含め度重なる訴えがあったにもかかわらず、学校側は最悪の事態を防げなかった。調査に当たった第三者委員会は「学校の対応と自殺には関連性がある」と認定し、「生徒の心情をくみ取れていなかった」などと問題点を指摘した。
調査結果などによると、男子生徒へのいじめが最初に確認されたのは昨年5月。掃除の時間に友人たちが男子生徒をからかい、男子生徒が泣き出した。担任の40代の女性教諭が現場を目撃しており、後日、友人たちに謝罪させた。
その前にも、保護者から「友人とのけんかが長引いている」と電話で相談があったが、対応を取っていなかった。男子生徒は同じころ、1週間休むなど不登校気味となったという。
6月には、同級生同士の無料通信アプリ「LINE(ライン)」で、男子生徒が「不快に感じる」(調査結果)ようなアイドルグループとの合成画像が流されていた。ただ、学校側は生徒が自殺するまでこの件を把握していなかった。
男子生徒が7月に友人のグループと遊びに行った際には、仲間はずれにされた。保護者が学校側に相談し、友人たちが男子生徒に謝罪。この件を受け、学年集会が開かれたが、この友人たちから「チクった」と責められたという。
男子生徒は集会が開かれることを知らされておらず、当日は欠席した。第三者委は「男子生徒の困惑は相当のものであったと推測される」と指摘した。
集会後には「変態」「寝ぐせがひどい」との冷やかしも受けるようになったが、男子生徒が「大丈夫」と話したので問題としなかった。男子生徒が7月と9月に学校のいじめ調査アンケートを提出していなかったことも見過ごされた。
第三者委は「からかいの累積による苦痛などの心情をくみ取れていなかった」と分析。男子生徒は自殺前日と当日、保護者に「転校したい」「学校へ行っても何も変わらない」などと訴えていたという。学校から加害生徒の保護者、担任から校長、校長から市教委への連絡不足も重なった。市教委は「担任は友人同士のからかいの範囲と捉え、深刻に受け止めていなかった。学校全体として対応が非常に甘かった」としている。